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アールワークス、1ノード月額5000円のSaaS型監視サービス「SoNar」、パートナー向けにも展開

2011/08/01 19:55

 市場では24時間365日止まらない安心・安全なシステムへのニーズが高まる一方で、システムの複雑化に伴い、ITベンダーのシステム運用・管理の負荷が増している。そこで注目されるのが、システムの運用・管理を代行するITマネージドサービスだ。アールワークス(木下仁社長)は、2000年の設立以来、データセンター(IDC)事業やITマネージドサービスを行ってきた。そこで培ったネットワークインフラの運用ノウハウ・技術力を生かし、2010年8月、SaaS型の情報システム監視サービス「SoNar(ソナー)」を開始した。同社の事業戦略、そして「SoNar」の特徴を田嶋健氏、佐藤淳一氏の両執行役員に聞いた。

ユーザーの認識は「運用・管理はプロに任せて本業に専念」

 アールワークスの中心事業である「マネージドサービス」には、大きく二つの柱がある。一つは、IDC事業の「MSC(マネージド・サービス・センター)」、もう一つが運用サービス事業の「リモート運用サービス」だ。IDC事業では、池袋のランドマークビルであるサンシャイン60内に自社運用のデータセンターを保有し、専任の技術者を配置して顧客の情報システムを管理している。

 田嶋健執行役員アカウントエグゼクティブディレクタは、「現在のユーザー企業は約70社で、管理サーバー(ノード)は4000以上」という。ユーザー企業の大半がネットサービスを手がける企業で、有名ネットサービスプロバイダの情報システムの運用を陰で支えている。

田嶋健執行役員アカウントエグゼクティブディレクタ

 そこで培ったハウジングやホスティングサービスなどのネットワークインフラの運用ノウハウと、ネットワーク関連パッケージやソフト開発の技術力を活用し、2010年8月に開始したのが、SaaS型監視サービス「SoNar」だ。

 「情報システムの重要度は高くなる一方で、システムは複雑化し、運用・管理の負荷は増大している。しかも、コストも強く意識しなければならないなかで、ユーザーの間では『運用・管理はプロに任せて、本業に専念すべきだ』という認識が高まっている」(田嶋執行役員)。

OSSベースのサービスならではの低価格を実現

 「SoNar」は、情報システムの管理者が、簡単に、低コストで自社システムの稼働状況を把握でき、障害発生通知機能を利用できるよう、SaaS型サービスとして提供している。スペインのIT企業、Artica ST社が開発をリードするオープンソースソフト(OSS)の監視ツール「Pandora FMS」をベースに、アールワークスが、自動音声電話通知やリソース推移分析支援などの独自機能を付加してインフラをつくり上げた。

 「Pandora FMS」は、直観的な操作ができるユーザーインターフェースが特徴で、世界144か国で22万以上のダウンロード実績をもつ。

 佐藤淳一執行役員ネットワークインテグレーション部長は、「開発コミュニティの活動は非常に活発で、アールワークスのメンバーも『Pandora FMS』の日本語対応や開発にコミッタとして参加している。日本のユーザーの要望も反映した開発を進め、半年に1回のペースでバージョンアップを行っている」と語る。

佐藤淳一執行役員ネットワークインテグレーション部長

 「Pandora FMS」がベースの「SoNar」は、使いやすさだけでなく、1ノード月額5000円からという高いコストパフォーマンスも魅力。競合ツールが有償オプションとして提供しているグラフツールなども標準搭載し、運用管理に必要な機能をほぼ備えている。多言語表示にも対応しているので、グローバルで事業を展開する企業にもメリットは大きい。

IDCを活用してSIer向けにも積極展開

 「SoNar」の特徴として、まず挙げられるのが「監視対象の自動検知・設定」だ。これは、監視対象が更新・増加した際に、あらかじめ指定しておいたネットワークセグメントのノードを自動検知し、設定を自動で行う機能。設定は物理環境だけでなく、仮想環境にも適応する。監視対象に搭載するエージェントがサーバー側にプッシュ型で通信し、仮想マシンを立ち上げた際にも自動で情報を収集してくれる。

仮想環境にも適応して情報を自動で収集

 地図やデータセンタのラック構成図上にシステムの状態を重ね合わせて表示させる「ビジュアルコンソール」機能や、移動する監視対象(携帯電話など)の位置を動的にマップ上に表現する「GISマップ」機能など、グラフィカルにシステムの状態を表示させる便利な機能も備わっている。

障害状況を地図上に詳細表示

 異常検知の通知は、メールのほか、登録した電話番号への自動音声通知に対応。電話連絡は、「1回の電話連絡」と「ユーザーが出るまで電話をかけ続ける」の2パターンを用意する。「これによって、運用管理者の夜間の監視負荷を軽減できる。また、電話に出ても、決められた解除操作を行わないと何度でも電話をかけ続けるので、確実に担当者に障害を通知できる」(佐藤執行役員)。

 すでに30社程度のユーザーをもつ「SoNar」だが、IDCというインフラをもつ強みを武器に、一般企業だけでなく、エンドユーザーにシステム構築・運用・管理サービスを提供しているSIer向けにも積極的に提供していく方針だ。


 佐藤執行役員は、「導入企業のなかには大手のIDCもあり、OEMを含め、再販にも積極的に対応していきたい。AP機能はSIer、ディストリビュータが提供し、そのシステムの運用管理をバックグラウンドで当社が担う補完関係を築いていきたい」と強調。直販だけでなく、パートナー企業とのアライアンスビジネスにも強い意欲を示した。
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外部リンク

アールワークス=http://www.rworks.jp/

「SoNar」=http://www.rworks-ms.jp/service/detail/id=45

「SoNar オンラインデモ」=http://sonar.rworks-ms.jp/demo/