ソフトバンクBBのコマース&サービス事業では、現在、国内で急速に普及するスマートフォンやタブレットを中核端末として、通信回線、付加価値サービスなどを加えた企業向け「モバイルインターネットサービス」を拡充しているところだ。

溝口泰雄　取締役常務執行役員

　ソフトバンクグループでは、昨年よりパソコンやスマートフォン、タブレット端末といったさまざまなデバイスを用いて、いつでもどこでもオフィスと同様のITシステムを利用できる環境構築（「シンクライアント」など）を進めてきた。こうした自社内での利用経験を踏まえ、製品・サービスをつくり上げている。ITシステムの卸先である販売店が、端末やクラウド・サービスをユーザー企業に販売し、従来のビジネスを拡大できる環境を整えているのだ。

　スマートフォンの国内販売台数は、個人利用を含めて、2011年に2000万台を超えると予想されている。同社の溝口泰雄・取締役常務執行役員は、「従来のパソコン市場を上回るビック・マーケットだ。このトレンドを背景に、販売店が顧客の要望に応じて、当社プラットフォームサービス、スマートフォンなどと各社の付加価値ソリューションを組み合わせることで成長軌道に乗ったビジネスの拡大が期待できる」と話す。

　サーバーやパソコン、通信機器、業務ソフトウェアなどをユーザー企業へ提供する販売店の多くでは、スマートフォンやクラウドの時流に乗ったサービス提供が求められている。そこでソフトバンクグループが提供する回線やサービスを利用し、これに加え、各社の付加価値ソリューションを提案いただくことでユーザーニーズやトレンドに応じたシステムが提供でき、パソコンをはじめとした従来のビジネスの幅を拡大できる。

　同社の社員もiPhoneやiPadで、クラウドを活用した仮想デスクトップ環境を利用する。セキュリティを担保された環境で、場所や時間を問わず「迅速にオフィスのパソコンと同じデスクトップ環境を使える」（溝口常務）という仕組みを構築しており、この利用ノウハウを基にした動画や資料などの営業ツールを活用しており、これらを販売店にも提供する準備を進めている。

　端末の販売に加え、利用するうえで必要なメールセキュリティや運用管理、モバイルデバイス管理（MDM）、VPNなどのサービスなども取り扱っており、この分野への新サービス参入もますます盛んになっていく。「一度、顧客に端末を導入すれば、こうしたソリューションサービスをプラスしていくことで、さらに収益を上げられる」（溝口常務）。競合他社に比べて、モバイル端末を使ったクラウド・サービス提供で先行する同社と連携し、先進のソリューション提供を行うことで販売店の次世代ビジネスを築くことができるのだ。