パートナー企業（チャネル）を介した間接販売の拡大を推進しているデルのグローバルコマーシャルチャネル統括本部チャネル営業本部の宮崎博本部長は、「BCN Conference」における「Dellのチャネル戦略」と題したセッションで、パートナー施策の現状と今後の方向を語った。グローバルコマーシャルチャネル統括本部は、間接販売を専担する新しい組織だ。今年の2月にデルが事業拡大に向けて行った組織再編の一環として設立された。

＜2011.10.14開催 BCN Conferenceレポート＞

デルの宮崎博本部長

　セッションの冒頭で、宮崎本部長はデルの会社概要やビジネスコンセプトを説明した。デルは、長年にわたってパソコンなどハードウェアを直接販売する「デルモデル」を展開して急成長を遂げてきたが、このところ、クラウドコンピューティングが本格的に普及するなかで、「ソリューションプロバイダ」に事業の舵を切ろうとしている。同社は、全世界の現地法人でいっせいに組織再編を実行して、チャネル向けの支援制度を導入した。マーケティングやトレーニング、セールスといった分野で販売パートナーを積極的にサポートする仕組みをつくり、間接販売を確実に拡大している。

　宮崎本部長は、IT販社をはじめとしてセッションに集まった関係者に向けて、「当社は今、従来の主力製品である個人・法人向けのパソコンに加えて、法人向けのサーバー・ストレージとソフト・サービスの事業に力を集中している」と、チャネル戦略の現在の状況を語った。また、「法人向けのソリューション展開にあたって、販売パートナー網がカギを握っているので、チャネルビジネスの拡大に取り組んでおり、パートナー体制を強化することによって、チャネルビジネスの基盤づくりを行っているところだ」と、販売パートナーを支援する積極的な姿勢をアピールした。

　デルが販売パートナー向けの支援プログラムを本格的に始動したのは今年の2月だ。宮崎本部長は、これまでのおよそ8か月を振り返り、プログラム開始による成果を披露した。また、今後の方針に関して、「パートナービジネスは現時点で、まだ全社事業の約10％しか占めていないので、速いスピードで拡大を図りたい」として、事業の加速化に意気込みを示した。

　デルは、間接販売の強化を目指すにあたり、「各パートナー様の強みを活用する」（宮崎本部長）ことを重要なポイントとみており、パートナーが強みを発揮できるよう、支援策を拡充させていく。

　デルはとくに、「サービス」「ソリューション」「クラウド」の成長分野に着眼して、事業拡大を追求している。宮崎本部長は、「そのために、われわれは『サービス』『ソリューション』『クラウド』を得意とするパートナー様を獲得し、全面的に支援する。パートナー様にとっての利益が大きいことを重視しながら、一緒に、さまざまな新しいソリューションを実現していく」と、講演の参加者に事業方針を語りかけた。