富士通は、12月6日、ハードウェアとソフトウェアを一体化し、導入・運用に最適な構成で提供する製品を垂直統合プラットフォーム「Dynamic Integrated Systems(ダイナミック インテグレーテッド システムズ)」として体系化した。また、あわせて垂直統合型データベース製品「FUJITSU Integrated System HA Database Ready」を発売。垂直統合型システムに対する富士通の取り組み、システムの特長や強み、今後の製品展開などを紹介する。

2003年からの取り組み 新たに体系化

統合商品戦略本部
シニア バイス プレジデント
(商品企画担当)
谷村 勝博 氏
 富士通が新たに体系化した「Dynamic Integrated Systems」の背景について、統合商品戦略本部の佐々木一名本部長代理は、「当社お客様の研究会調査では、企業は新規ICT投資と既存システム運用・保守への投資比率を同程度にしたいと望んでいることが明らかになっているが、実際は運用・保守に7割ものコストがかかっている。その最大の要因は、オープンシステム(水平分業)が進み、ITが複雑化したことにある。このネックを解消するために、ハードとソフトの垂直統合で大幅に削減することを目指した」と説明する。

 垂直統合型システムは、他社からも発表が相次いでいるが、富士通の垂直統合への取り組みは2003年にまで遡る。同社の4万5000件ものシステム構築実績をもとに、ITシステム基盤の構成を標準化した「TRIOLE(トリオーレ)テンプレート」からスタートし、2007年には、工場でユーザー専用のITインフラを組み込んでデリバリーするサービスを開始。そして2011年には、仮想化/プライベートクラウド向け統合基盤「Cloud Ready Blocks(クラウド レディ ブロック)」を発表した。

統合商品戦略本部
本部長代理
佐々木 一名 氏
 「その豊富な実績、技術、ノウハウの集大成として、今回の『Dynamic Integrated Systems』がある」と、統合商品戦略本部 シニア バイス プレジデント(商品企画担当)の谷村勝博氏は強調する。なお、「Cloud Ready Blocks」は、今後「Dynamic Integrated Systems」の製品群の一つとして機能を強化する。

 「Dynamic Integrated Systems」は、動的変化に対応(Dynamic)、ハードとソフトの最適統合(Integrated System)、そして、すぐに使えて簡単運用(Ready)をコンセプトとする。谷村氏は、「その体系のもと、サーバー集約や業務アプリケーション用途向けの基盤は『汎用型』として、また、性能が求められるデータ処理など特定用途向けの基盤は『目的特化型』として、二本立てで製品化を展開していく」と語る。


仮想化/プライベートクラウド向け「汎用型」統合基盤「Cloud Ready Blocks」

 「汎用型」ですでに提供が始まっている「Cloud Ready Blocks」は、富士通のベストプラクティスが凝縮された統合パッケージを謳う。同社のパブリッククラウドサービス「FGCP/S5」のGUI、沼津ソフトウェア開発クラウドセンターにおけるIaaSの運用ノウハウ、そして、約2000件ものクラウドインフラ構築事例からモデル構成を最適化。

 これら同社が実践で培ったクラウド技術・ノウハウが、ふんだんに盛り込まれている点が大きな特長だ。

 また、設計・構築・基本設計済みのシステムとして納入するので、手配から納品まで1か月程度で完了し、簡単な手順をふむだけで、すぐに運用を開始することができる。「Express Model」「Standard Model」「Enterprise Model」の3モデルを用意し、規模やステップに応じた選択ができる。従って、約30までの小規模なサーバー集約・仮想化要件から、300を超えるような大規模なクラウド運用要件にも対応できる。

 関東学院大学では、教育研究サービスの利便性向上を目的に「Cloud Ready Blocks」を導入、春休みという限られた期間に短期間でシステムを構築し、パッケージ製品の採用で初期導入コストを約40%削減という成果を上げている。



OSSインターフェース採用の「目的特化型」製品「HA Database Ready」

統合商品戦略本部
商品戦略統括部
統合商品企画部長
国近 慎一郎 氏
 「目的特化型」で提供される第一弾の製品が、垂直統合型データベース製品「FUJITSU Integrated System HA(※) Database Ready(HA Database Ready)」だ。

 具体的な構成は、サーバーの「PRIMERGY(プライマジー)」やストレージの「ETERNUS(エターナス)」、ネットワーク機器「SR-X」などのハードに、当社データベースソフトウェア「Symfoware(シンフォウェア)」の優れた技術と「スマートソフトウェア技術」を組み合わせている。HAの名称が示すように冗長構成を採用し、その設計・設定・検証を済ませて提供される「高性能・高信頼」と「すぐに使えて簡単運用」を実現する。

 統合商品戦略本部の国近慎一郎氏は、「データベースにはオープンソースソフトウェア(OSS)『PostgreSQL』のインターフェースを採用しているので、豊富なソフトウェアやパッケージを活用できる。また、『PostgreSQL』のバージョン間における互換性を保証しているので、資産を安心かつ確実に継続、利用することができる」と語る。

(※)HA:High Availability


すぐに使えて簡単運用 チューニング不要で従来比20倍の処理性能

 ここで、具体的な特長をみていこう。

 まず、「すぐに使える」では「スマートセットアップ」による導入の容易さだ。「HA Database Ready」は、今まで納入したデータベースシステムの導入パターンを分析し、ハードウェアとソフトウェアを最適に組み合わせ、ハードウェアの設定やデータベース(DB)の初期設定などを済ませた状態で出荷する。セットアップ時の作業は管理者ID、IPアドレスといったネットワーク設定だけで済む。

 国近氏は、「従来であれば、設計・導入、構築に2.5か月は必要であったが、設置の当日からでもDBを利用できる」と述べる。

 高性能という点では、データベース全体をSSDに搭載するインメモリ技術によって、I/O性能を最適化。これにより、CPUの性能をフルに引き出し、富士通の従来データベースシステムとの比較で、約20倍もの処理性能をチューニング不要で引き出すことができる。

 運用面では、「Symfoware」のミラーリング技術でシステムを二重化したうえで、「ETERNUS」に自動バックアップする三重化構成を採用することで高信頼を実現。また、データベースを利用開始時から冗長構成で運用、サブサーバーへリアルタイムにデータ複製を行うことで、万一の障害発生時にはサブサーバーに1秒で切り替えできる。復旧も「スマートリカバリー」機能によって、ボタンをワンクリックするだけで完了する。

 さらに、一度の操作で正・副サーバーを交互に切り替えてパッチを自動適用する「スマートオペレーション」機能によって、業務時間中でも業務を止めずにパッチを適用できる。これによりオペレーションやメンテナンスなどの手間を大幅に低減する。

 今後の「Dynamic Integrated Systems」製品の展開として、「汎用型」の「Cloud Ready Blocks」では、2013年半ばを目途にプライベートクラウド統合基盤と仮想化統合基盤の機能を強化した2製品を投入する予定だ。一方、「目的特化型」は、今年中にBI/BA分野向け「情報活用システム」の製品を投入し、製品ラインアップを拡大しようとしている。