クラウドコンピューティングの普及が進み、ユーザー企業がデータセンターを活用して情報システムをプライベートクラウドに移行するなか、クラウド構築の基盤として注目を集めているのが、垂直統合型システムだ。海外と国内の大手コンピュータメーカーはこのところ、サーバーやネットワーク機器、OS、ミドルウェアなどを統合し、さらにシステム構築のノウハウも盛り込む垂直統合型製品を相次いで投入している。これらの製品は、従来型のシステムと比べて設置の期間が短く、導入して短時間で稼働させることができる。

 あらゆるコンポーネントを一つの機器に統合するという情報システムのアーキテクチャは、決して新しいものではない。昨今登場している垂直統合型システムの“前身”として、1960年代頃に普及が始まった「メインフレーム」を挙げることができる。メインフレームは、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせて、1台のマシンで複数の業務処理を行うことができる汎用コンピュータである。構成がシンプルでかつ性能が高いことを強みとして、1990年代まで多くのユーザー企業で使われてきた。

運用・管理の煩わしさを解決

 しかし、メインフレームは高い性能を誇る反面、高価格であるというデメリットもあり、1990年代からシステムアーキテクチャの流れが変わってきた。新たに、サーバーとクライアントと呼ばれる複数のパソコンを接続し、処理を分担して動作する「クライアント&サーバーシステム」が登場した。クライアント&サーバーシステムは、メインフレームと比べて安価に構築することができ、拡張性にもすぐれるので、普及が進んだ。その動きと軌を一にして、メインフレーム時代は幕を閉じた。

 ところが、拡張性にすぐれているという本来の強みは、ここ数年の間に、クライアント&サーバーシステムのネックとなってきた。というのも、拡張すればするほど、システムが複雑になり、ユーザー企業はシステムの運用・管理に多くのリソースをかける必要が生じたからだ。企業は、IT予算の大半を運用・管理に使わなければならなくなり、経営改善や事業拡大を図るアプリケーションの導入をはじめとする「活用」には、ほとんど予算を回すことができない実状がある。

「水平分散」から改めて「垂直統合」へ

 そんな状況にあって、昨今登場している垂直統合型システムは、設置のしやすさを実現するだけでなく、運用・管理の煩わしさを解消することをコンセプトに掲げ、IT活用によってユーザー企業の価値を生み出すことを重視している。そして、システムアーキテクチャの主流を「水平分散」から、改めて「垂直統合」にシフトさせようとしている。米国では、垂直統合型システムの本格普及が始まっており、2013年は、日本でも導入事例が増えることが予測される。

 この特集では、各社が展開している垂直統合型製品を紹介する。さらに、ディストリビュータとして垂直統合型製品を取り扱っているネットワンパートナーズの動きにスポットを当てる。