「BCN Conference 2013」の仙台会場で、東日本電信電話(NTT東日本)は、クラウド市場の開拓にあたって、SIerとの協業に力を入れる方針を示した。ビジネス&オフィス営業推進本部 ソリューションエンジニアリング部 ビジネスソリューション部門の秦泉寺浩史部門長は、ネットワークやハウジング/ホスティングなどのクラウド関連サービスを提供し、アプリケーションの構築を手がけるSIerと協業して、クラウド事業を拡大していく意気込みをみせた。

地域に根ざしたクラウドの展開に注力

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秦泉寺浩史 部門長
 秦泉寺部門長は、「NTT東日本のクラウドパートナー(SIer)戦略」と題して、セッションの始めに、活性化しているクラウド市場の動向について述べた。「これまでは、特定の端末からシステムの専用サーバーにアクセスするやり方が一般的だった。しかし、クラウドの登場で状況が変わった。今後は、ネットワークに接続したさまざまな端末から汎用的なウェブブラウザを用い、ITリソースを共用サービスとして利用するケースが増えるだろう」と見通して、クラウドが着実に普及している状況を語った。

 クラウドサービスを利用するユーザー企業が受けるメリットとして、秦泉寺部門長は、「システムを保有しないことによる運用コストの削減だけでなく、災害に強い堅牢なデータセンター(DC)内にシステムを構築することになるので、BCP(事業継続計画)対策にもつながる」という点を挙げた。

 また、国内のクラウドサービス向けITサービス市場予測についてもふれ、今後もクラウド市場は順調な成長が続くという調査データを紹介した。秦泉寺部門長は、「そんな状況にあって、IT製品の売り手であるSIerはクラウドを前提とする新しいビジネスモデルに発想を転換する必要がある」と捉え、会場に集まった東北地区のSIerの関係者に、NTT東日本が「Bizひかりクラウド」ブランドで提供するクラウド関連サービスを活用し、一緒に新しいビジネスを開拓することの意義をアピールした。

 NTT東日本のクラウド関連サービスは、通信キャリアとして蓄積してきたネットワークの強みをはじめ、自社所有のサーバーをNTT東日本のDCに預けるハウジング、NTT東日本が用意した仮想サーバーを利用するホスティング、SaaS(アプリケーション)など、クラウドの各レイヤを網羅するパーツ・設備サービスで構成されている。同社は、17都道県34拠点のDCを運営しており、これらのリソースを生かして、遠隔拠点へのバックアップまで、クラウド利用を幅広くサポートしている。今秋には宮城DCに新拠点がオープンするなど、東北地区についてもクラウドの展開に力を注いでいる。

 NTT東日本のSaaSメニューとして、秦泉寺部門長は、(1)Windowsシステムのデータを手軽にバックアップするサービス、(2)社員や職員などの安否確認や緊急連絡を行うことができるサービス、(3)生活路線確保にお悩みの地域にバスやタクシーのメリットを生かしたデマンド交通システムサービス、(4)診療所向けに電子カルテを提供するサービス、(5)教職員の校務にかかる負担を軽減するサービスなど、SIで実績のあるソリューションをクラウド化したサービスを紹介し、幅広いポートフォリオを取り揃えていることを訴求した。


クラウド上での共同事業など協業モデルの有効性を訴求

 同社は各地で進めている「NTT東日本×SIer」の協業モデルを紹介した。このモデルでは、NTT東日本がネットワーク、ホスティング、バックアップを提供し、SIerはそれらを基盤としてアプリケーション構築を手がける。つまり、インフラの提供についてはスケールメリットをもつNTT東日本に任せて、SIerは自社の強みであるアプリケーション開発や構築に集中することにより、利益を確保することができるわけだ。オンプレミス型の既存システムの更新を機にクラウドを導入する案件をはじめ、オンプレミスからクラウド上に社内システムを移行して複数拠点で柔軟な接続を実現したり、県内町村で個別運用している業務システムをクラウド上で共同利用するなど、さまざまなパターンの協業案件が考えられる。

 最後に、秦泉寺部門長は、「当社のサービスを使えば、ユーザー企業に対して、オンプレミス型の既存システムをクラウド化する提案ができる。ぜひ当社との協業を検討していただきたい」と、協業モデルのメリットや有効性を訴えた。