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<プリンタメーカー座談会 2015>2015年、プリンタメーカー各社の拡販施策とは

2015/02/26 19:56

週刊BCN 2015年02月23日vol.1568掲載

●ビジネスインクジェットが拡大も
やや不満の残った2014年


──さて、2014年を振り返っていただくと、市場そのものはどう動いたと感じていらっしゃいますか。

島田(日本HP) ビジネスインクジェット市場が拡大した年だったと思います。冒頭の、各社の皆さんのお話を聞いていても、ビジネスインクジェットに追い風が吹いていると感じます。

赤松(リコージャパン) エプソン販売さんの定額プリントサービス「エプソンのスマートチャージ」など、新しいプリンタのビジネスモデルも普及し始め、市場が活性化してきています。我々も、多様化するお客様のご要望にお応えしていきたいと考えています。

北村(エプソン販売) キヤノンさんもビジネスインクジェットプリンタの新ブランド「MAXIFY」を出されましたし、数字ははっきり出ていませんが、島田さんもおっしゃったとおり、ビジネスインクジェットの市場規模が拡大した年だったと感じます。当社だけでなく、各社が新機種を投入したことで、市場が盛り上がった年だと思います。

大澤(ブラザー販売) これは皆さん共通の感想だと思いますが、プラス面でもマイナス面でも、やはり増税の影響は大きかったように感じました。一年を通してみると、市場環境としては厳しかった印象です。ただビジネスインクジェットについては、市場の裾野が広がり、可能性を感じた年でした。

──そんななか、自社の業績についてはどう自己評価しますか。

大澤(ブラザー販売) ビジネスインクジェットプリンタは、3月の増税前の駆け込み需要はあったものの、その後は伸び悩みました。ただ、レーザープリンタについてはさほど落ち込むことははなく、BCN AWARD 2015のページプリンタ部門でナンバーワンを獲得するなど、好調でした。実績を残すことができたので満足しています。

赤松(リコージャパン) 当社にとっても増税の影響は想定以上で、4月から6月にかけては、機器販売もアフタービジネスも非常に厳しい状況に陥りました。それを打開したのは「医療分野」や「流通分野」など、業種・業態に特化した製品です。これらの製品のおかげで、後半はなんとか盛り返すことができました。パートナー様との連携で業績を伸ばせたのは非常によかったですね。

 全体としては、増税の影響を加味してももう少し踏ん張りたかったというのが正直なところですね。やや不満という結果です。

島田(日本HP) 2014年は「Pro X元年」として立ち上げの年でした。増税やWindows XPのサポート終了による影響はほとんどなく、一定の成果を残せたと思います。しかし、当社がターゲットとしているオフィス市場は、インクジェットプリンタが浸透してきているとはいえ、まだまだ拡大の余地は大きい。1年を振り返ってみると、もっと成長できたのではないかと思っています。

 社内体制としては、プリンタビジネスの専任部門を立ち上げた年でもあり、成長の基盤はできたと考えています。課題もまだ残っているので、満足できる状況ではありませんけれども。

北村(エプソン販売) 市場は2013年の後半から回復傾向にあり、2014年通年でみると堅調だったと思います。ただ、消費税改正やXPのサポート終了などの影響で8月くらいから、少し減速したかなと感じています。そのようななかでも、ビジネスインクジェットプリンタもレーザープリンタも、市場全体、さらには当社前年比を上回る成長を達成しました。先ほど申し上げた新プリントヘッド搭載のビジネスインクジェットプリンタ、とくに「PX・M7050シリーズ」を中心に、レーザープリンタの置き換え需要を喚起できる新製品を積極的に投入したことは、大きな成果だったと思っています。

 ただ、積極的に新製品を投入した分、もう少し伸びると見込んでいたのですが……。その点で、少し不満は残ります。

──赤松さんから、医療や流通分野の需要を獲得できたというお話がありましたが、皆さん、とくに投資意欲が旺盛だったと感じる業種・業態はありますか?

島田(日本HP) 業種・業態というわけではないのですが、SMBが伸びたように思います。なかでもコスト意識の高いお客様に、数多く導入していただけました。

北村(エプソン販売) 小売りや飲食業のお客様から積極的にお声掛けいただきましたね。狭いスペースに設置したいというニーズに合致したのでしょう。また、モバイルプリンタは、モバイル業務やカウンター業務などで多く引き合いがありました。

大澤(ブラザー販売) 飲食業のお客様が導入されるケースが多かったですね。飲食店は設置スペースが限られていることもあり、狭いスペースに設置できるプリンタとして、当社製品が選ばれたのだと思います。実際、飲食系の情報サイトで知られる「ぐるなび」の利用調査でも、当社のファクス複合機の導入シェア率がナンバーワン※2という結果が出ています。

 また、サーマルモバイルプリンタは、地方銀行での導入実績ができてから引き合いが増えていますね。

ビジネスインクジェットに追い風が吹いていると感じる


日本ヒューレット・パッカード
プリンティング・パーソナルシステムズ
事業統括
プリンティング事業統括本部
統括本部長
島田昌彦 氏

企業向け・個人向けのインクジェットプリンタ、ページプリンタの製品企画やマーケティングおよび営業を担当する。




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外部リンク

エプソン販売=http://www.epson.jp/

日本ヒューレット・パッカード=http://www8.hp.com/jp/

ブラザー販売=http://www.brother.co.jp/

リコージャパン=http://www.ricoh.co.jp/