瀋陽東芝東軟信息系統(多田智紀・董事長総経理)は、中国の東芝グループ会社の共通ICT基盤の整備に力を注いでいる。そこで培った実績を強みとして、今後は現地の日系企業の開拓に拍車をかける方針だ。さらに、東芝グループ各社が提供する多様な製品をネットワークと接続させて、大量のビッグデータを活用したIoT(Internet of Things)関連ソリューション・サービスを開発・提供。これによって、製品を販売する「モノ」ビジネスから、「モノ」のもつ情報を活用した「モノ+こと」ビジネスへの転換を図る。


中国で東芝のグループ力を結集

多田智紀
董事長総経理
 東芝は、今年4月1日、グループ内に分散しているICTソリューション関連部門を社内カンパニーのクラウド&ソリューション社に統合する。グループ内のICTに関わる人材を集結して、各社が利用する共通のICT基盤を構築。さらに、東芝グループ各社が提供する多様な製品をネットワークと接続し、大量のビッグデータを活用したIoT(Internet of Things)関連ソリューション・サービスを開発・提供する。これによって、製品を販売する「モノ」ビジネスから、「モノ」のもつ情報を活用した「モノ+こと」ビジネスへの転換を加速していく。

 瀋陽東芝東軟信息系統は、すでに2014年度(14年12月期)から中国の東芝グループ各社が利用する共通のICT基盤の整備に力を注いできた。多田董事長は、「中国には、東芝グループの資本が入っている企業が87社あるが、これまでは各社が個別にIT環境を整備していた。そこで当社は東芝中国社と連携し、グループ会社の共通IT基盤を整備することで、全体コストの最適化とセキュリティの向上に努めてきた」と説明する。中国のグループ各社が使用するマイクロソフト製品のライセンスの一括購入や、資産管理ツールの導入、東芝がグローバルで統一しようとしているERP(統合基幹業務システム)の導入支援などを推進。さらに、中国のパートナー企業が保有するデータセンター上に、中国の東芝グループ会社向けのクラウド環境を構築した。現在、そのクラウド環境上に、人事・給与・勤怠管理システムの実装を進めている。

真の狙いはグループ外への販売

 瀋陽東芝東軟信息系統が中国の東芝グループのICT基盤を一手に請け負っているのは、グループ全体のコスト最適化やセキュリティの向上を目的としているだけではない。真の狙いは、グループ会社向けのICT基盤を構築して、中国ビジネスの経験・ノウハウを蓄積し、それをグループ外の企業に向けて拡販することにある。

 2014年度は、そのための営業体制の整備を進めた。手広く中国全土をカバーするのではなく、本社を置く瀋陽と、東芝グループ会社と日系企業が集中している北京・上海に戦略地域を絞り込んだ。

 2015年度は、東芝グループ会社向けのICT基盤構築をさらに推進するとともに、上海や北京の営業担当者をさらに拡充して、現地の日系企業に対する営業を強化する。クラウド環境には、eラーニングや工場の遠隔監視、生産管理などのシステムも追加する方針だ。構築したアプリケーションは、グループ外の企業にも提供していく。

 さらに、東芝グループと一体で、中国市場に向けた営業活動を推進する。多田董事長は、「東芝は、エレベータや空調など、グループ各社がもつ商品を、中国のデベロッパーや建設会社に対して一括提案する戦略をとっている。そこで、グループ会社の商品に、当社はBEMS(ビルディング・エネルギー・マネジメントシステム)などITソリューションを組み合わせて提供する」という。さらに、エレベータの遠隔監視など、グループ各社が提供する商品をネットワークでつなぎ、データを収集・分析できるIoT関連ソリューション・サービスも開発していく。

 このような取り組みは、東芝グループのICT基盤構築で実績を積み上げて、それを日系企業やローカル企業に横展開する戦略だ。多田董事長は、「2015年度には、前年比2倍の売上高を目指す」と語った。