国内プリンタ市場の成熟が進み、商品単体での差異化が難しくなるなか、メーカー各社は新たな需要を掘り起こすために、さまざまな取り組みを進めている。とくに、力を入れているのが業種・業務に特化したソリューションだ。座談会では2016年の市場を振り返るとともに、17年に各社が注目する業界、具体的な商品・販売戦略について、大手プリンタメーカーのエプソン販売、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)、富士ゼロックスの担当者に聞いた。

司会・進行:『週刊BCN』編集委員 谷畑良胤

出席者(写真左から)
エプソン販売 北村光一 販売推進本部 BP MD部 部長
キヤノンマーケティングジャパン 寺久保朝昭 オフィスデバイス企画本部 ビジネスプリンタ企画部 部長
富士ゼロックス 古賀 優 マーケティング部 統合マーケティング推進室 室長

シングル機が複合機にシフト 業種攻略に向けた施策を強化

――はじめに、現在の主力製品とラインアップを、差異化や特徴も含めて紹介してください。

北村(エプソン販売) 当社の強みは、コア技術のマイクロピエゾを搭載したインクジェットプリンタの豊富な商品群です。環境性能やファーストプリントの速さ、さまざまなメディアにプリントできるという特徴を生かして、お客様のニーズにお応えしています。

 一般オフィス向け、業種・業務のお客様向けに、A3、A4の複合機とシングル機をラインアップ。また、一部のSOHOのお客様に向けて、大容量インクのエコタンクを搭載したインクジェットプリンタをラインアップしています。

 オフィス向けでは、A3カラーの「PX-M7050シリーズ」、業種・業務向けではA4カラーの「PX-M840/M740シリーズ」や小型のモバイルプリンタ「PX-S05シリーズ」、エコタンク搭載モデルではカラーの「EP-M570T」とモノクロの「PX-M160T」「PX-S160T」などがあります。レーザーではモノクロの「LP-S3250」、A3カラーの「LP-S7160/6160」があります。

 また、2017年2月2日に高速ラインインクジェット複合機/プリンタ「LX-10000Fシリーズ」(100枚/分)、「LX-7000Fシリーズ」(75枚/分)、および「エプソンのスマートチャージ」対応モデル「PX-M7070FX」「PX-S7070X」を発表し、これにより、SOHOからデスクサイド、オフィスのセンターマシンまですべてのオフィスにインクジェットを導入いただけるラインアップが整いました。

寺久保(キヤノンMJ) ビジネス向けはレーザープリンタの「Satera」ブランドで提供していますが、シングル機で30モデル、カートリッジタイプの複合機で10モデル、ビジネスインクジェット「MAXIFY」で5モデルと、合計45モデルを展開しています。幅広いラインアップにより、SOHOのお客様からセンターマシンとして活用される大規模なお客様までのニーズにお応えできることが強みです。

 基本スペックは、各社すでに高いレベルにありますので、お客様にいかに快適にお使いいただけるか、ユーザビリティの向上に注力しています。これは今に始まったことではなく、例えば、一体型カートリッジの採用やドライバインターフェースの統一などに取り組んできました。

 現在の主力製品は、各ジャンルの高速モデルです。例えば、A3カラーでは「LBP9900シリーズ」とモノクロの「LBP8900シリーズ」をお勧めしています。いずれも50PPMクラスのスペックで、このレベルの製品を続々、投入しています。

古賀(富士ゼロックス) 当社では、カラーでは55PPM機、モノクロでは50PPM機をシングル機の最上位機種として、10PPM機までのラインアップを取り揃えています。

 なかでも、昨年10月に発売した「DocuPrint CP310 dw」はA4で28PPMのスペックをもち、DocuPrintシリーズとして複合機と同じトナーを採用しました。非常に細かな粒径のSuper EA-Ecoトナーの採用で、小さな文字や細線をくっきりと再現できます。また、低融点で定着できるので消費電力低減にも貢献します。

 「DocuPrint CM310 z」のような複合機タイプもラインアップし、SOHOのお客様を中心としたニーズにお応えしています。販売面でも、従来は当社の営業マンがフェイス・トゥー・フェイスでご提供していましたが、法人向けオフィス用品の会員制販売サイト「e-Qix(イー・クイックス)」を通じた販売も行っています。サポートについても、複合機と同じサービス拠点のエンジニアが直接担当することで、さまざまな出力ニーズにお応えしています。これにより、プリンタだけでなく、複合機と合わせてマネジメントをするという提案につなげています。

――2016年の市場観はいかがでしたか。販売実績や取り組んだ施策、その成果についても教えてください。

古賀 市場観は、全体としてやや低調でした。そして、モノクロのシングル機が一部を除いて複合機へシフトしています。当社としては、カラーのニーズが高く、その分、成長できました。業種では観光業、流通業の需要が目立ちました。

 取り組んだ施策では、業種別のお客様に合った出力環境の提案です。個々のお客様の環境で帳票などがしっかり出力できるよう、SIパートナー様と一体となって検証活動に取り組みました。

寺久保 国内市場は成長市場ではありませんが、大幅な減少はなく、横ばいから微減での着地と考えています。一番の要因は、本体が長寿命化して壊れなくなったことで、5~7年も現役でお使いいただくお客様もいます。一方、消耗品の需要は伸びているので、台当たりの収益性は上がったといえるかもしれません。

 当社が注力したのは高速機で、それも消耗品の需要増に貢献しています。また、業種の攻略にも力を入れました。分野としては医療や自治体、流通です。
北村 市場は明るくないですね。ただ、下期は案件の大型化や公共分野で、やや活発化したことはよい傾向と捉えています。機種別では、レーザープリンタは苦戦でしたがインクジェットプリンタが好調で、全体では成長しました。

 取り組んだ施策は大きく三つ。まずは、MIF(市場稼働台数)を確実に維持するためにパートナー様と組んで、保守満了のお客様へのアプローチを進めました。二つ目は、「エプソンのスマートチャージ」の既存のお客様に向けて、追加導入キャンペーンを実施しました。三つ目は、キャッシュバックキャンペーンと「お得祭り2017」で、とくに「お得祭り2017」では、開始月の12月から好調な立ち上げにつながりました。今年は、一部の製品でキャッシュバックか保守延長を選択できるようにしました。
 
エプソン販売
北村光一  販売推進本部
BP MD部
部長

エプソンのスマートチャージをはじめ、ビジネスプリンタ全般のマーケティングを担当
EPSON=http://www.epson.jp/



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『プリンタメーカー座談会2017』に関するアンケート
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