AIへの取り組みとパートナー戦略を合わせて解説

 特別講演には日本マイクロソフトの福地紀雄・パートナー事業本部パートナーマーケティング統括本部新規ビジネス開発チーム本部長が登壇、「マイクロソフトのクラウドが推進するデジタルトランスフォーメーションとパートナー戦略」をテーマに講演した。日本マイクロソフトやパートナー、ユーザーの事例を紹介するとともに、市場の変化に対応して成長を目指すマイクロソフトのパートナービジネス戦略や取り組みについて解説した。

パートナーを主役に
26兆円市場をともに開拓

福地紀雄
パートナー事業本部
パートナーマーケティング統括本部
新規ビジネス開発チーム
本部長

 福地本部長は講演の冒頭、「新規ビジネス開発チームのミッションは、パートナー様の数を増やし、一緒になってビジネスをつくっていくことである」と強調した。

 マイクロソフトの創業当時のミッションは、「すべてのデスクトップとすべての家庭にコンピュータを」であったが、時代とともにミッションが変化し、デジタルトランスフォーメーション時代の今は、「地球上のすべての個人とすべての組織がより多くのことを達成できるようにする」に変わった。マイクロソフトのビジネスもクラウドが半分を占めるまでになり、対象とする市場はPC時代の1400億円から、26兆円と膨大な規模に拡大している。「この市場に向けてパートナーの方々を真ん中に据え、ビジネスを推進していく」と力強く語った。

 現在、日本マイクロソフトが注力する分野は、「働き方改革」「デバイスモダナイゼーション」「インダストリーイノベーション」「セキュリティ」の4分野。

 働き方改革では、各種デバイスの活用と専門性を活かしたソリューションを提供することで可能となった、多くのパートナーの成功例を紹介した。インダストリーイノベーションでは、「業種カットのソリューションを強化している」と説明したうえで、「今、お客様は情報システム部門ではなく、事業部門が投資を決定するようになっているため、アプローチを変える必要がある」とした。

 次に「Now on Azure」として、マイクロソフトのクラウドビジネスへの取り組みを説明。事例として取り上げたのは、大手コンビニチェーン。利用者は、入店前にLINEで最新情報をキャッチし、入店時にレコメンドやおすすめ商品の場所を教えたり、動きに合わせてデジタルサイネージに表示するコンテンツを変えるなどして購買を促し、レジ会計を自動化する。さらに店舗での行動・購買履歴はビッグデータに取り込み、次の来店時には、より好みに合った情報やサービス提供につなげるなど、近い将来の店舗の姿を紹介した。

誰でも使える「みんなのAI」
パートナービジネスモデルも変化

 続いて説明したのはAI。マイクロソフトは25年前からAIに取り組んでおり、今はAIの民主化、つまり、誰でも使える「みんなのAI」を目指していると強調した。エージェント(会話するAI)ではCortana、アプリケーションではOffice 365やDynamics 365などへのAIの取り込み、サービスでは認知機能・機械学習を利用した分析などの機能をアプリケーション開発者に提供、インフラではAzureを利用したAIスーパーコンピュータを構築して誰でも利用できるようにする。

 AIの事例でまず紹介したのは、Cortanaベースのスマートスピーカー。音声で空調などのコントロールを可能にする。このほか、コネクテッドカー(つながる車)、トラック・バスの運行管理システム、未来の商品棚、監視カメラを活用した顧客属性の把握、トラベルガイド、AIを活用した新しい広告の手法などの例を紹介。「こうしたサービスの提供を可能にするため、マイクロソフトは世界42リージョンという世界最大級のクラウドプラットフォームを展開している。また、さまざまな機関に認定された高いセキュリティを確保していることも強み」と語った。

 福地本部長が最後に紹介したのがパートナー戦略。「ユーザーがデジタルトランスフォーメーションに向けて大きく変化していくなかで、当社のパートナービジネスモデルのトランスフォーメーションも急務になっている」として、その取り組みを説明した。

 マイクロソフトはパートナー組織の担当営業、技術者、マーケテイングのメンバーをすべて統合し、法人向けパートナー支援機能を集約した。新設のパートナー事業本部は、「Build-With」「GTM(Go-to-Market)」「Sell-With」の3チームで構成。「Build-With」チームは、パートナーのサービスとマイクロソフトのテクノロジーを統合し、より付加価値の高いソリューションをつくり出す役割を担う。「GTM(Go-to-Market)」チームは、つくり出したパートナーソリューションを世の中に広く告知し、案件をつくっていくことを役割とする。「Sell-With」チームは、市場ニーズを捉え、パートナーソリューションを販売していく役割を担う。そして「テクノロジーアーキテクト」のメンバーが、最新テクノロジーや製品をユーザーに採用してもらえるよう、パートナーを支援する。

 「また、CSP(Cloud Solution Provider)プログラムも急速に売り上げを伸ばしており、日本でも2000社を超えるパートナーが参加している。統合プラットフォームサイトを通じてパートナーの露出機会を増やし、マーケティングキャンペーンとの連動も進める。作り・広め・売るを徹底的に推進・展開していくため『パートナーサクセス』プログラムを本格的にスタートし、パートナーの方々のビジネスの最大化に貢献していく」と、福地本部長は話した。