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キヤノンマーケティングジャパン フルラインアップ戦略で、あらゆる顧客ニーズをカバー

2018/03/22 09:00

週刊BCN 2018年03月19日vol.1719掲載

今後も、新製品投入や従来機の進化を積極展開

 キヤノンのビジネス用プリンタは、レーザープリンタの「Satera」、インクジェットプリンタの「PIXUS」「MAXIFY」と業界屈指のラインアップを誇り、長年にわたり高い市場シェアを獲得し続けてきた。キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)では、今後も新製品投入や従来機の刷新に積極的に取り組む。レーザー方式とインクジェット方式のフルラインアップ戦略で、多様化する市場ニーズに対応するとともに、顧客課題解決に向けたさまざまな施策を推進していく方針だ。

レーザー、インクジェットともにシェアNo.1
顧客起点の新体制へ移行し、さらなる拡大へ

沢田泰一
マーケティング統括部門
プリンティング企画本部
インクジェットプリンタ企画部
部長

「国内のビジネスプリンタ市場は成熟市場であるものの、当社の2017年はレーザープリンタが好調で、本体だけでなく消耗品などの保守ビジネスも対前年で成長。また、ビジネスインクジェットも二桁成長を維持している。これによりレーザーは、26年連続国内シェアNo.1、インクジェットも4年連続No.1を達成することができた」とマーケティング統括部門プリンティング企画本部の沢田泰一・インクジェットプリンタ企画部部長は17年を振り返り、胸を張る。

 レーザープリンタに関しては医療、流通小売業など、特定業種の攻略を推進。自社の直販部門に加え、さまざまな販売パートナーやSIerと協業することで、各業種ごとのアプリケーションと連携している。例えば、医療分野では電子カルテシステムとの連携、流通小売業ではPOPアプリケーションの「ポップエース」とカラーレーザーの高速機を組み合わせたソリューションなど、市場に着実に浸透しているという。

 また、16年12月に開始したオフィス機器の状態をリモートでモニタリングする無償サービス「リモート・サービス」も好評だ。同サービスは、ユーザーの機器を常に見守り、カートリッジの残量を検知して自動配送したり、万一の故障時もいち早く状況を把握して迅速に対応できるため、ダウンタイムを最小限に抑えることができる。「お客様に向けて、快適な稼動環境を提供するというメリットだけでなく、販売パートナーの方々にとってもサービスの効率化につながるなど、メリットは大きいはず。サービスを通じて消耗品需要を確実に把握し、ニーズをいち早く捉えてお客様への提案につなげていくことができる」と沢田部長は説明する。

 ビジネスインクジェットに関しては、店頭系の販売を中心としながらも、多店舗を展開する流通小売業などのBtoB向けのアプローチを強化。デジタルマーケティングの活用による販売効率アップにも積極的に取り組んだ。

 製品展開では、昨年10月にビジネスインクジェット複合機の新製品「TR8530/TR7530」の2機種を発売した。同製品はコンパクトさが特徴で、従来機種に比べて設置面積を約18%、体積を約32%削減。設置の自由度が広がり、スペースの限られたSOHOや店舗などに適した製品となっている。

 「レーザーもインクジェットも、各業種に向けた提案力を強化している。その一環として、18年1月から組織も顧客起点の新体制に移行。従来の製品起点から、市場と顧客に合わせてさまざまなソリューションが提供できる体制へと変化した。これにより提供できるソリューションの幅も広がっている」と沢田部長は話す。

コスト意識の高い顧客に向け
特大容量タンク搭載プリンタを投入

 キヤノンMJでは、18年もトップシェアを維持するために着実に手を打っている。製品戦略において注目されているものの一つが、2月に発売した特大容量タンクを搭載したインクジェットプリンタ「Gシリーズ」だ。本体にブラック2本、カラー(シアン/マゼンタ/イエロー)各色1本ずつのインクボトルを搭載。1本あたりブラックは約6000ページ、カラーは約7000ページの大量印刷を可能とする。ランニングコストはモノクロで約0.3円、カラーで約0.8円と、従来のカートリッジモデルと比較して、インク交換の頻度を大幅に減らし、低ランニングコストを実現している。とくに、コスト意識が高く、モノクロの大量プリントをするユーザーを想定した製品である。

「われわれの強みの一つは、幅広い製品ラインアップ。SOHOのお客様から大規模なお客様まであらゆるニーズにお応えすることができる。今回の特大容量タンクモデルをはじめ、今後もラインアップを拡充して新たなニーズを拾い上げていくとともに、従来製品の進化モデルも順次、投入していく」と沢田部長は力を込める。

 春商戦の販促策では、インクジェット製品を対象として、キヤノンのカメラ製品と組み合わせたキャッシュバックキャンペーン「GOING2020! SPRINGキャンペーン」を3月にスタートした。また、昨年9月に開始した新サービス「PIXUS プリント枚ルサービス」もユニークなサービスだ。これは17年発売の製品から一部の製品を対象に、プリンタ本体がネットワークに接続されている状態でプリントやインク交換をすると「枚ル(マイル)」と呼ばれるポイントが獲得できるサービス。貯まった枚ルはインクカートリッジや用紙などの購入に利用できるキヤノンオンラインショップクーポンやJCBギフトカードと交換できるので、需要の喚起につながる。「今後もより良い製品をリリースするのは当然として、お客様の利用シーンにあったさまざまなサービスをあわせて提供する事で、お客様の課題解決や快適な利用環境を提供し続けたい」と沢田部長は語る。

「G3310」
インク:4色ハイブリッドインク
(ブラック顔料インク・カラー染料インク)
カラーインクコスト(A4普通紙):約0.8円
モノクロインクコスト(A4普通紙):約0.3円
本体サイズ:約445×533×260(mm)
質量:約6.3kg
標準価格:オープン価格

商品URL:canon.jp/bij
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外部リンク

キヤノンマーケティングジャパン=http://canon.jp/