グレープシティが提供する「Forguncy」は、プログラミングの知識がなくても、Excel感覚で誰でも簡単に業務アプリケーションをつくることができるツールだ。2014年の発売以来、属人化し、ブラックボックスになりがちな“Excel業務“のシステム化が手軽にできる点が評価されユーザーを拡大してきたが、2017年11月には、カゴヤ・ジャパンとの協業により、カゴヤのクラウド環境でライセンス料も含めて月額課金で利用できる「Forguncyプラン」も市場投入した。カゴヤ・ジャパンの森明義・セールスグループ セールスチームリーダーとグレープシティの八巻雄哉・Enterprise Solutions事業部プロダクトマネージャに、Forguncyプランの狙いと顧客基盤拡大に向けた戦略を聞いた。

Excelと業務アプリの根本的な違い

――まずはForguncyの特徴についてあらためて教えてください。
 
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グレープシティ
八巻雄哉
Enterprise Solutions事業部
プロダクトマネージャ

八巻 シンプルに表現すれば、Forguncyはノンプログラミング、ノーコード、ローコードのアプリケーション開発ツールといえます。既存のExcelファイルを資産として活用し、Excelの操作性の延長上で、お客様自身が業務アプリケーションを構築できるのが特徴です。

――Excelファイルを業務アプリ化する、つまりはシステム化する必要が出てくるのはどういう場合でしょうか。

八巻 多くのお客様は、自社で使っている業務システムではカバーしきれない業務で、Excelを使ってデータを管理したり、ちょっとしたマクロを組んでオペレーションしたりしています。しかし、Excelは優れたツールですが、どこまでいっても表計算ドキュメントでしかありません。活用の範囲や規模が広がるほどさまざまな課題が出てきてしまいます。

――本来、個人向けのツールといえるExcelも、「Excel Online」が登場し、クラウド上で共有、共同編集できるようになりました。Forguncyの価値はそういう部分とは違うところにあるんでしょうか。

八巻 従来のExcelの課題は共有の難しさでしたが、確かにその点はExcel Onlineが解決しました。共有だけが目的であれば、Excel Onlineで十分です。しかし、繰り返しますがクラウドで共有できるようになったとしても、Excelは業務システムではなく、あくまでもドキュメントであり、あまりにも自由過ぎるんです。
例えばシートにあるデータを改変するのは誰でも簡単にできますし、コピーも自由にできますから、どれが最新のデータを反映したファイルなのかわからなくなってしまうということも往々にして起こり得ます。自由にいろいろなことができるのは、用途によってはメリットですが、業務システムとして考えた場合には適切な制限・制約がないとトラブルのもとになってしまうのです。データを一元管理し、画面のなかで誤った値が入力されないようにするというのが業務アプリに求められる要件ですが、Forguncyはこれを満たした業務アプリをExcel感覚でつくることができるということです。ただし、操作感やUIはExcelに近いので、お客様の抵抗感を最小限に抑えて、定着率が高いシステムをつくることができます。

――ノンプログラミングで業務アプリが構築できるプラットフォームとしてはサイボウズの「kintone」なども有名です。Forguncyは何が違うのでしょうか。

八巻 kintoneは業務アプリの使い手とつくり手が同じ人になる場合が多いですね。業務の現場の担当者がExcelを代替して自分のチームの業務に関するデータ管理に活用するというイメージです。しかし、あくまでも現場の目線でアプリをつくっていくので、小規模なチームに閉じたアプリになることが多く、部署全体や会社全体として業務を効率化するためのシステムをつくろうという流れにはなりづらいと思います。

 Forguncyはその点でkintoneとは特色が違っていて、IT部門や事業部をまたいで共通業務をみているような部門が、各部門に散在してきたExcelファイルをつないで一つのシステムにつくり直し、全社的に業務を飛躍的に効率化できるポテンシャルがあります。組織の横串を通した業務の最適化を考えるなら、kintoneよりもForguncyが向いているといえるかもしれません。
 
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開発はExcelライクな操作性(左)。完成後、エンドユーザーにとってのUIは右のようなイメージになる。

ニーズの変化とクラウドの必然

――Forguncyをクラウド環境ですぐに使えるサービスが、2017年11月にカゴヤ・ジャパンの「Forguncyプラン」としてリリースされました。これはどういった経緯・背景があって誕生したサービスなのでしょうか。
 
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カゴヤ・ジャパン
森明義
セールスグループ
セールスチームリーダー

 当社の企画担当の人間が、あるメーカーのセミナーに参加したときにForguncyを拝見して、これはすごいということで協業のお声がけをしたことがきっかけでした。

 当社はレンタルサーバー事業が主力で、12年前に自社でデータセンター(DC)を竣工し、運用を開始しました。そこからサービスの内容や自由度が高くなり、お客様のニーズにダイレクトに応えられるサービス展開が可能になりました。ただし、一方でDCを自社でもつということは、稼働率を上げなければいけないということでもあります。従来中心だったライトユーザー、コンシューマ向けのサービスは多くのお客様に支持していただいていますが、もっと大規模に使っていただけるエンタープライズ向けのサービス開発もどんどん進めようというのが近年の戦略です。

 具体的には、AI、ディープラーニングのニーズに対応してGPUサーバーの提供も始めていますし、クラウドサービスも単なるインフラの提供にとどまらないレベルでラインアップを強化しています。その一環で注力しているのが、グレープシティのようなパッケージソフトベンダーと一緒にサービスをつくるという取り組みです。クラウド上のサーバーにソフトをセットアップし、サービス化して提供しようということですね。パッケージソフトベンダーさんとはWin-Winになるビジネスを構築できますし、これがエンタープライズ層のユーザー開拓のキーになると思っています。

――グレープシティとしては、Forguncyをクラウドで提供する必要性はもともと感じておられたんでしょうか。

八巻 Forguncyをリリースした段階では、とくにクラウド展開は考えておらず、オンプレを前提としていました。ユースケースとして、基幹システムと関連しているけれどもシステム化の範囲からは漏れてしまった業務にExcelを使って問題が発生している場合を想定していたからです。そうすると、基幹システムのDBとつなげないといけないわけで、クラウドから基幹システムにつなぐとなると、一般的なエンドユーザーの手にはおえなくなってしまいます。一方で、最近では、基幹システムと関連しない業務ですぐに使いたいとか、導入費用を抑えたいというご要望も多くなってきていました。しかし、われわれにはクラウドサービスのノウハウもないし、そのための体制をつくるにもかなりの投資が必要になります。そういったなかでカゴヤ・ジャパンにお声がけをいただいたので、ぜひ、ということでお話を進めたという流れです。

SIer、リセラーのエコシステムをつくる

――Forguncyプランのリリースから5か月ほど経ちますが、状況はいかがですか。

 引き合いは多々いただいていますし、成約されたお客様も増えています。当社自身も力を入れて営業していますし、セミナーなどもグレープシティと共同で開催して、マーケティング活動も積極的に展開しています。
 今後重要になるのは、パートナー戦略だと思っています。エンドユーザーへの訴求も然りですが、SIerなどに商品を担いでいただくパートナーエコシステムの構築に動いているところです。

八巻 当社の従来の主力であるプロの開発者向けのソフトウェア部品は、エンジニアの口コミなどで広がっていきましたが、Forguncyはユーザー層がまったく違いますので違った戦略が必要です。森さんがおっしゃるとおり、カゴヤ・ジャパン、そしてそのパートナーである営業力のあるリセラー、さらには導入支援をしてくれるSIパートナーも含め、パートナーエコシステムが機能することが拡販には不可欠です。現在はパートナーを広く募集し、その支援に力を入れています。

――SIerによる導入支援というお話がありましたが、Forguncyはユーザー企業が自らアプリ構築のために使うのが基本ではないのですか。

八巻 そうしたケースももちろん多いのですが、SIerが初回開発を担当して、その後はお客様が自らメンテナンスしていくというパターンも少なくないです。Excelでまわしている業務というのは、変化が激しい領域であることが多く、システム化したときも、ある程度自分たちでいじれないと、スピード感についていけなくなるのです。その意味では、開発行為だけでなく、Forguncyを使いこなすためのスキルトランスファーも、SIerにとってはビジネスになっています。

――Forguncyのパートナーになるための条件はどのようなものがあるのでしょうか。

八巻 パートナープログラムがスタートしたばかりなので、そこまで厳密な要件はありませんが、簡単な審査をさせていただき、販売計画について合意を得られればいいというイメージです。

――Forguncyプランのビジネスとしての目標は?

八巻 まだ始めたばかりなので、売上などで具体的な数値目標を置いているわけではありません。ただ、サービスをリリースする前からお待ちいただいているようなお客様もいらっしゃいましたし、現在はどの商談でも「クラウド版はないのか」と聞かれる状況です。大いに期待できると思っています。

 Forguncyは非常にわかりやすいツールです。当社の営業メンバーも、非常に提案しやすいという手ごたえをもっています。お客様のIT部門だけでなく、管理部門に紹介しても、これなら自分たちも使えるんじゃないかと思っていただけることが多いですね。Forguncyプランは、「一人情シス」のような体制のお客様でも、インフラを自分たちで用意することなくすぐに動かせるという魅力があります。当社の代理店にもさらに広く拡販していただけるように取り組みを進めていきます。