ペーパーレス化の動き、年賀状需要の縮小など、プリンター市場にとっては厳しい要素が多い中で、大容量インクタンクモデルの投入や、強みとなる「コンパクトさ」「コストメリット」を足掛かりにしたビジネスニーズへの訴求で存在感を高めるブラザー。2018年度の取り組みと今後の注力分野について、ブラザー販売の伊藤英雄・マーケティング推進部長に聞いた。

伊藤英雄
マーケティング推進部長


製品ラインアップがそろい
業種向け提案の実績も蓄積


 18年度のプリンティングビジネスの状況について、伊藤氏は「製品のモデルチェンジが多かったこともあり、インクジェット、レーザーとも比較的堅調に推移した」と振り返る。同社が最もプレゼンスを発揮しているローエンドレーザーの領域では、モノクロ、カラーのいずれのラインアップにおいてもモデルチェンジによる入れ替え需要が増加。ビジネス全体は前年とほぼ同じ水準で推移したという。

 インクジェットについては、18年9月に発売した大容量インク「ファーストタンク」対応のモデルが、A3、A4のいずれにおいても好調な立ち上がりを見せた。「特にランニングコストにシビアな個人事業主、SOHO、小規模事業所などに広く受け入れられた。インクジェット全体での台数は減少しているが、ニーズはより大容量タンクモデルに移ってきている。ビジネス全体としてはプラスの傾向にある」という。

 同社ではここ数年の間に、ローエンドからハイエンドまで、プリンティングカテゴリのラインアップを着々と整備してきた。インクジェットの「プリビオ」シリーズ、レーザーの「ジャスティオ」シリーズの双方で、コンシューマーからビジネスまで、幅広いニーズに対応した製品選択が可能になっている。これらに加えて、現場に持ち出して使える小型のモバイルプリンター、流通・小売りなどでニーズが高いラベルプリンターなども存在感を増している。18年度には、これらの相乗効果を目指したビジネス市場での業種向け施策も、一定の成果を生んだという。

 「医療、製造・物流、流通・小売り、金融など、特定業種の中で、われわれの製品が持つコンパクトさやコストメリットの優位性を生かせる利用シーンがあることが分かってきた」と伊藤氏。

 業種ごとの利用シーンに合ったプリント需要に応えるためには、それぞれに強いソフトウェアの提供と、業種内のシステムやデバイスとの連携がカギになる。連携をスムーズに実現するためのカスタマイズやソフトウェアの対応を進めたことで、各業種における推奨プリンターとして、ブラザー製品が挙げられる機会が増えたことは、大きな成果につながったという。

利用シーンに合った
ソリューション提供を加速


 19年度以降は、引き続き業種ごとの利用シーンに応じたソリューション提案を強化していく方針だ。それにより製品単体ではなくクロスセルによる販売を強化していく。

 「例えば小売りの店舗などではラベルプリンターに対するニーズが高い。インクジェットかレーザープリンターを導入していただいた店舗に、合わせて当社のラベルプリンターをお勧めするといった形で提案の幅を広げていきたい。そのためにも、各業種でのブラザープリンターの認知をしっかりと上げていく」(伊藤氏)

 また、今後数年を視野に入れた施策として、流通・小売の業種に向けたソリューションの拡充は一つのテーマになるという。20年の東京五輪などを契機とするインバウンド需要の増加などから、流通・小売り系の市場は活性化が予想される。同時に近年話題となっている電子決済システムにより、レジ周りのシステム刷新も加速すると期待される。「市場の動向を捉えて、入れ替え需要だけでなく、これまでシステム化がされていなかったような小規模ビジネスでの新規需要にも合ったソリューションの提供を進めていきたい」と伊藤氏は意欲を見せる。

 こうした動きの端緒とも言えそうなのが、同社が3月に提供を開始したばかりの「送り状印刷ドライバー」※だ。これは、大手運送会社の送り状ラベルへの印刷を、面倒な設定なしで行える専用のプリンタードライバーである。ECプラットフォームを介した小規模事業や個人間取引などが増加する中、これまで煩雑だったラベル印刷の設定をより簡単に行いたいというニーズに応えるものだという。

 「業種別の提案といっても、ニーズや現場での使われ方は千差万別。お客さまのニーズがどこにあるかを見つけ出し、切り出してセグメント化すれば、それはビジネスになる。そうした動きを広げることで、ブラザープリンターの認知を高め、実績を重ねたい」と伊藤氏は力を込める。

※詳細な対応情報はブラザーHPをご確認ください
https://www.brother.co.jp/product/printer/special/okurijo/index.aspx



大容量インクジェット「ファーストタンク」シリーズ
A3カラービジネスインクジェット複合機
MFC-J6999CDW

大容量インクカートリッジに対応し低ランニングコストと高耐久を実現。
3段トレイ+多目的トレイを搭載したA3フル対応フラッグシップ複合機
標準価格:オープン価格
・モノクロ 約22ipm、カラー 約20ipm*1
・モノクロ 約0.7円/枚、カラー 約3.7円/枚*2
・解像度最大1200×4800dpi
*1:ISO/IEC 24734、24735に基づく数値
*2:A4文書1枚あたりのインクコストのみ算出
 
感熱ラベルプリンター
QL-820NWB

有線/無線LAN/Bluetooth搭載。
スマホからラベル印刷可能な62mm幅対応の感熱ラベルプリンター
標準価格:オープン価格
・印刷速度最大176mm/秒
・黒と赤の2色同時印刷に対応(印字速度最高24mm/秒)
・解像度300dpi