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読み取りの確かさでJBATが選択した「Kodak INfuse AXスキャナー」、ネットワーク直結型でデータが直接クラウドへ

2023/03/31 09:00

 システム連携用SaaS基盤「Qanat Universe」を提供するJBアドバンスト・テクノロジー(JBAT)は、紙データを電子化してシステムに取り込むためのスキャナーとして、コダックアラリスジャパンの「Kodak INfuse AXスキャナー」を選択。自社クラウド基盤と組み合わせた「Qanat Universeスキャナー」と名付けたサービスを2022年6月にリリースした。INfuse AXスキャナーの最大の強みは、くしゃくしゃになった紙でも正しく読み取れること。接続先を固定できるので社内情報の漏洩も確実に防げる。

確実に読み取れるINfuseがスキャナー保存の能率向上に有効

 「帳簿と書類の電子保存が本格化する今、くしゃくしゃの紙からもデータを取り込めるスキャナーでなければペーパーレス化は進まない」と指摘するのは、JBATで先進技術研究所の所長を務める浜口昌也・執行役員だ。同社は、JBグループの1社として、ハードウェア/ソフトウェア/生産管理PKGの開発、製造、販売を担当。サービスの一つとして「Qanat Universe(カナートユニバース)ペーパーレスソリューション」をクラウドで提供している。
 
浜口昌也
JBアドバンスト・テクノロジー
執行役員
先進技術研究所所長

 問題となるのは、電子帳簿保存法が保存方式の一つとして認めているスキャナー保存の場合だ。複合機のスキャン機能で手書きの領収書やコンビニエンスストアのレシートを取り込もうとすると、紙が詰まったり折れ目の部分が影になったりすることもしばしば。その補正には手作業が必要になるので、仕事の能率が低下してしまう。

 このような問題意識を持つ浜口執行役員が2021年6月に出会ったのが、「Kodak INfuse AXスキャナー」(スキャナー単体)と「INfuseスマートコネクテッドスキャニングソリューション」(管理SaaS)だった。「デモを見せてもらったところ、くしゃくしゃの紙を乱雑に放り込んでもすんなり読めるので驚いた」と浜口執行役員。「てっきりデジタルで補正しているのかと思ったら、搬送系と光学系の工夫で対処しているとのことだったので、また驚いた」と振り返る。

 INfuse AXスキャナーには、斜めに入ってしまった原稿を自動的に補正する仕組みが内蔵されている。さらに2方向から光源を当てる独自の方式で影を飛ばしているので、デジタル補正をしなくても高精度のイメージを取得できるため、高いOCR識字率を発揮。また、ネットワークに直結でき、高度なセキュリティ制御をかけられることは、クラウドからSaaSとして提供するQanat Universeと組み合わせるのにぴったりだった。

 そこで、JBATは自社グループの業務部門にINfuse AXスキャナーを試験的に導入。取引先から受け取った請求書などをシステムに入力する業務で検証してみることにした。実際に運用してみると、読み取り速度が速いだけでなく、くしゃくしゃになった紙も綺麗にスキャニングできるのが良かったという。この判定を踏まえて、スキャナーで取り込んだデータをクラウドに直接転送するサービスをQanat Universeペーパーレスソリューションの一環として開発することが決まった。

連携基盤のQanat Universe経由でスキャンデータをSaaSに送り込む

 幸いなことに、Qanat Universeは「いろいろなソフトウェアやサービスをつなぐためのSaaS基盤」(浜口執行役員)として作られているので、INfuse AXスキャナーを組み込むのにそれほど手間はかからなかった。ネットワーク直結型のスキャナーであるINfuse AXスキャナーは、接続先のソフトウェアやサービスを指定するだけでシステムへの組み込みが可能。システム設定やスキャナー群の一元管理には、INfuseスマートコネクテッドスキャニングソリューションが利用できる。スキャナーでしばしば問題になるセキュリティリスクについて、浜口執行役員は「INfuse AXスキャナーは特定業務でしか使えないので、社内文書の不正持ち出しに使われるおそれはない」と強調する。

 こうして出来上がったQanat Universeスキャナーを、JBATは22年6月20日に発表。全国のQanat Universeパートナー企業を通じて販売できるように、同日に提供を開始した。

 Qanat Universeスキャナーの利用料金は、ハードウェア費用+管理SaaSライセンス+Qanat Universe利用料の3本立て。管理SaaSライセンスがスキャナー1台当たり月額6000円、このほかにインスタンス当たり月額2万5000円からのQanat Universe利用料に設定している。井出智孝・ハードウェア事業理事は「ハードウェア費用は購入方法によって多少異なるが、JBATが勧めているのは36カ月(INfuse AXスキャナーの無償保証期間)のサブスクリプション方式」としている。
 
井出智孝
JBアドバンスト・テクノロジー
ハードウェア事業
理事

 発売から日は浅いものの、JBATはQanat Universeスキャナーの機能拡張にもとりかかっている。サイボウスの業務改革プラットフォーム「kintone」と接続できるよう、JBAT側で標準的な設定を済ませておくことで、エンドユーザーがすぐに使えるようにする提供形態も用意される予定だ。さらに、ハードウェア費用+管理SaaSライセンス+Qanat Universe利用料をまとめて月額で支払うサブスクリプション型の提供も計画している。

 「日本の中堅中小企業をもっとチャレンジできるように元気にさせたい、というのが当社のビジョン。そのためにも、昨今の人手不足を緩和するのに役立つソリューションをできるだけ安価に提供したい、とわれわれは考えている。Qanat Universeスキャナーにおける23年度の販売目標は、400セット。SIerやリセラーの方々が扱いやすいパッケージングを目指しているので、ぜひ相談いただきたい」と浜口執行役員。デジタル変革(DX)の具体的な第1歩ともなる、ペーパーレス化――。それを加速するためのスキャナーとして、JBATはINfuse AXスキャナーを高く評価している。
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外部リンク

JBアドバンスト・テクノロジー=https://www.jbat.co.jp/

コダックアラリスジャパン=https://www.alarisworld.com/ja-jp