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富士通 デジタル化によって様変わりしつつある世界 目的に合った手段で業務の効率化を進めたい

2023/08/24 09:00

週刊BCN 2023年08月21日vol.1981掲載


 基調講演では、富士通シニアエバンジェリストでFirst Creative Agent代表エバンジェリストの松本国一氏が登壇。「リスタートした世界~デジタル化が進む世界、そして日本の向かう先は~」をテーマに講演を行った。

富士通シニア
エバンジェリスト First Creative Agent
代表エバンジェリスト
松本国一氏

 松本氏は、まず「コロナ禍とデジタル化によって、今、世界は大きく変わりつつある」と指摘。G7広島サミット(5月19~21日)でグローバルサウス(新興国)の存在感が明らかになったことや、中国の都市圏で富裕層が増えていることをその根拠に挙げた。世界のモノづくりの拠点となりつつあるインドは今年中に人口で中国を抜くとみられており、その他の後進国でも、リープフロッグ現象によってデジタル化が急速に進展。生体認証によるデジタル個人認証や行政手続きのオンライン化が進み、仮想通貨(暗号資産)を採用する国も増えている。2023年に入ってからは、「ChatGPT」に代表される生成AIや対話型AIの普及が目覚ましい。

 世界の進化がこのように加速する一方で、日本の状況はどうなっているのか。

 松本氏は「16年に始まった働き方改革は、まだ道半ば。業務効率化はあまり進んでいない」と述べて、その背景に働き方や手段が変わっていないことがあるとの考えを示した。その結果、従業員の定時退勤後に残された仕事を管理職が引き継ぐことになったり、テレワークを導入しても紙やファクスなどの手段が残っているので出社しての事務作業を廃止できないのである。

 そこで松本氏が勧めるのが、働き方改革の本来の目的に沿って業務効率化の手段を再考することだ。「働き方改革の目的は、『働き手を増やす』『働く制限をなくす』『生産性を向上させる』の3点。どれも、少子高齢化による労働力人口減少のカバーをねらっている」と松本氏。ハイブリッドワークは、例えば、アナログな作業環境、紙ベースの事務、場所にこだわるハンコ出社などの働き方といった無駄な仕事をなくすためのきっかけになると強調した。

 ただし、作業を紙ベースからPCベースに切り替えたり、業務システムをオンプレミスからクラウドに移行したりしても、それだけでDXが実現できるわけではない。松本氏によれば、「DXとは、誰かの“ありたい姿”をデジタルで実現すること」。業務効率化を正しく進めるには、その目的をしっかり認識した上で、従来のやり方をデジタルで変えていくことが重要。現場に寄り添うDXを進めることで現場業務の効率化も実現でき、ポイントは目的を正しく認識することにあるとのことだ。
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