セッション5では、i-PRO セキュリティジャパンの横光澄男・ヴァイスプレジデントが、製造業におけるAIカメラの先進的な活用事例と、現場改善を継続的に回すインフラ構築について解説した。
i-PROセキュリティジャパン
ヴァイスプレジデント
横光 澄男 氏
i-PROは2019年にパナソニックから独立した国内シェアトップのセキュリティー機器ベンダーだ。横光氏は冒頭、製造業界が直面する人手不足や労働災害の増加、「物流の2024年問題」といった課題に触れ、監視システムの役割が変化していると指摘した。「これまで事後検証のエビデンスに使われていたカメラが、遠隔でのリアルタイムな映像活用や、AIによる事故の未然防止へシフトしている」と述べ、AIカメラがDX投資の重要なインフラだと強調した。
講演では、製造現場の課題を解決する具体的なケーススタディを五つ紹介した。
第1は、複数エリアの見回り工数の削減。クラウドカメラサービス「i-PRO Remo.」を用いて現場に赴かず遠隔で統合管理を行い、巡回工数を大幅に削減する。全方位カメラと高画質カメラを組み合わせ、広範囲の俯瞰と詳細な状況把握を両立させる。さらにサムネイル表示にて、静止画のサムネイル一覧から再生映像を確認し、特定の映像を迅速に見つけることができるため、事後検証を効率化できる。
第2は、トラブル・事故時のエビデンス確認。フライングプローブテスタなどを手掛けるタカヤの事例では、基板検査装置の内部に小型カメラを組み込み、エラー発生時の状況を自動で録画することで、トラブルの原因分析やリモートでの初動対応が迅速化した。
第3は、作業者の安心・安全。工場内で多発するフォークリフトとの接触事故を防ぐため、AIカメラが危険エリアへの人や車両の侵入を検知してアラームを発する。また、ヒヤリハット映像の共有を社内で行い、安全意識の向上や啓発活動につなげている。
第4は、荷待ち・荷役時間の管理。トラックの長時間待機を解消するため、カメラ内で動くナンバー認識アプリを活用し、予約システムと連携した入退場の自動受付を行う。ダッシュボードで滞在時間や平均待ち時間を可視化し、待機時間削減の改善アクションを支援する。専用解析サーバーが不要なので、低コストで導入できる。
第5は、生産ラインの映像監視を通じた設備稼働の把握と改善。ここでは「Easy-PLCリンク」というシステムを紹介した。生産ラインを制御するPLCとカメラの連携は、PLCプログラムの改修が必要で現場から敬遠されがちだ。しかし同システムは「プログラムを書き換えずに、カメラ側からステータスを読み取りアクションを起こす」ことが可能だ。設備の異常停止時にアラームを起点として前後の映像を自動記録し、「チョコ停」要因の可視化と迅速な原因究明を実現する。製造DXの最初の一歩目として活用できるとした。
最後に横光氏は、「日本の製造業の課題解決に、日本メーカーとして長年培った映像センシング技術で貢献していく」と結んだ。