両備システムズは両備グループのICT部門を担う中核企業だ。公共や医療を中心に情報システムやデータセンター、セキュリティなどの事業を手掛ける。2025年には創立60周年を迎えた。長期ビジョンには「2030年に売上高500億円を達成し、西日本No.1のICT企業として岡山から世界を目指す」を掲げており、小野田吉孝代表取締役上席執行役員COOはその達成が「見えてきた」と手応えを語る。
自治体標準化で公共系が伸長、2025年度売上高は441億円
両備システムズは、グループ5社で目指す売上高500億円達成に向けて、2030年までの長期ステップを3フェーズに分けて進めており、現在は2段階目「浸透・推進期」の最終年度にある。2025年度の売上高はグループ連結で441億円、前年比20.3%増と計画を上回って着地した。
両備システムズ
代表取締役上席執行役員COO
小野田 吉孝 氏
売り上げをけん引したのは自治体システム標準化対応だ。2026年度中に、健康管理システム「健康かるて」の稼働は900団体、滞納整理システムも700団体を突破する予定だ。地図を使った固定資産税課税支援システム「マルコポーロ」も政令市への導入が進むなど、公共系プロダクトが存在感を放つ。標準化対応は2026年度にピークを迎えるが、小野田COOは「まだ移行段階の団体は多く、そこからの受注は今も増加中だ。運用・保守も継続し、今後も売り上げとして寄与する」と説明する。
2026年度は売上計画461億円を上回る手応えもあり、小野田COOは「500億円が見えてきた」と話す。その成長を支えるのが人材だ。同社は事業と人材を成長の「両軸」と位置づけ、5年で23%の賃上げという岡山県内トップクラスの賃金水準を実現した。
民需拡大とグローバル展開で 新たな成長の柱を育てる
自治体標準化後の成長を担うのが民需系事業だ。なかでも加速しているのが物流分野で、国交省ガイドラインに対応した荷待ち時間の短縮に役立つAIソリューションを起点に、ロジスティードソリューションズとの提携で同社の倉庫管理システムをOEM提供する。さらに、グループの両備トランスポートと連携し、入荷から保管、配送までを一気通貫で支援する体制が整いつつある。「受注ベースではすでに数十億円規模で、来年以降、売り上げに貢献していく」(小野田COO)
また、製造・小売分野では、販売・生産管理システム「Info-Gear」に建機レンタル業向けが加わり、アパレル向けの「Sunny-Side」も今年1月のドリームゲートとの合併で事業統合を終えた。交通分野でもバスロケーションシステムが63社・約8,000台の路線バスなどに広がり、貸切バス手配プラットフォーム「mobitas」には全国から複数のバス会社が登録。6月には高速バス乗り継ぎ予約サービス「コネモビ」も始めた。こうした展開を支える強みとして、小野田COOは「業種に特化したものづくりに加え、データセンターやセキュリティ、BPOまでトータルで提供できる総合力」を挙げる。
新事業やグローバル展開も加速する。2025年12月にはシンガポールに投資運用子会社のRyobi International Investmentを設立し、グループとのシナジーを軸に東南アジアでの事業投資を進めている。また、バングラデシュでは、AWD(間断かんがい)農法を活用した農業DXとカーボンクレジット創出の実証を約3,900ヘクタールで実施し、最大約40%のGHG削減と約20%の生産性向上を確認した。2026年には東京都の「グローバルサウスのGX促進プロジェクト」に採択され、ソラミツCBDCとともに環境価値をデジタル通貨として還元するモデルの実証にも乗り出している。AIの活用も広がり、「早期胃癌深達度診断支援システム Deepth-EGC」の販売や、自治体の人事異動案をAIで作成する実証などが動き出した。
こうした取り組みの先を見据え、次期中期経営計画(2027~2030年)の策定も進める。「社会とともに 社員とともに AIとともに ともに挑む、ともに創る。」をコンセプトに掲げ、AX(AIトランスフォーメーション)を前面に打ち出す。
9月に「両備共創EXPO 2026」開催、4つのパビリオンで共創を体感
同社の取り組みに触れられるのが、9月2~3日にTODA HALL&CONFERENCE TOKYOで開く「両備共創EXPO 2026」だ。「未来のその先へ 私たちと航海に出かけよう」をテーマに、クラウドサービス、製造業×物流、公共サービス、未来実験という4つのパビリオンを設ける。基調講演やスペシャルトークセッションも予定するほか、オンラインでも9月14~18日に講演のアーカイブ配信などを行う。
小野田COOは「私たちが持つ技術や経験を、お客様やパートナーの力と掛け合わせれば、ワクワクする未来をともに創り出せる。ぜひ会場で私たちを活用し、一緒に未来をつくりましょう」と呼びかける。