これまで多くのベンダーを買収し、豊富な製品ラインアップでグローバル屈指のソフトメーカーとしての地位を築いている米CA Technologies。ハードビジネスを手がけずにソフト・サービスに特化していることでも知られている。日本市場では、そこそこ知名度があるが、グローバル市場の状況に比べると存在感は薄い。競合に勝つことができるソフトをもっているものの、日本市場では販売する製品を絞っているからだ。2012年11月1日付で社長に就任した内藤眞氏は、豊富な製品群を“宝の山”と表現し、「最新のテクノロジーを駆使した当社の製品群を日本市場でさらに広めていく」と断言する。
ソフト特化のメーカーで経験を生かす
──2012年11月1日付でCA Technologiesの社長に就任されました。その経緯を聞かせてください。 内藤 CA Technologiesは、メインフレームの時代から運用ソフトを提供していて、ユーザーにとってなくてはならない存在でした。そのメインフレーム関連のビジネスを継続しながら、現在は、ずいぶんと業容が変貌しています。具体的には、プラットフォームであるメインフレーム関連ソフトに加え、バックアップソフトなどITマネジメントを実現する製品、それにセキュリティ関連ソフトも提供しています。今、「垂直統合」が注目されていて、ハードメーカーがソフトメーカーを買収するとか、その逆もあります。このようなメーカーが増えたら、「ベンダーロックイン」の危険性もあります。一方、当社は買収を続けて大きくなってきましたが、オープン化やクラウド化に対応しながら、そのなかでソフトメーカーであり続けている。ハードメーカーと補完し合いながら、ユーザー企業に最適なソリューションを提供しているのです。また、日本法人は1997年の設立と歴史があって、大きく成長もしている。本社や日本法人などの幹部と話しましたが、人材も非常に魅力的です。そこで、社長としてチャレンジしてみようと考えたのです。
──基本的にはハードメーカーで幹部や社長を務めるなど、内藤さんはハード関連ビジネスの経験のほうが豊富ですよね。ソフトメーカーであり続けるCAで、これまでの経験をどう生かしますか。 内藤 確かに、直近ではデルなどにいましたのでハード寄りかと思われるでしょうが、実はデルはパソコンやサーバーの販売だけでなく、ストレージ関連やネットワーク関連でハードとソフトを問わずにベンダーを買収したことで、ソリューションベンダーに変貌しています。また、その前に社長を務めたAPCやシュナイダーエレクトリックもハードを提供していますが、低消費電力や制御機能など、実はコアテクノロジーはソフトなのです。もちろん、ほかのベンダーでソフトを経験したこともあります。だから、これまでの経験を十分に生かすことができる。しかも、ハードの経験をもっていますから、最適なソリューションを提供するために、ソフトメーカーであり続ける当社を、どのような方向に進めてビジネスを拡大していくかの舵とりができる。そう思ったことも、社長に就任することを決めた理由です。
──では、ソフトメーカーであり続けるCAを、どのように舵取りしていくのですか。 内藤 グローバルでは、多くの製品を提供していますが、日本では、ほんのひと握りの製品しか市場に投入していません。いわば、“宝の山”を生かしきれていない。日本でさらに製品ラインアップを増やしていきます。そして、当社の技術をもっと日本のユーザー企業に訴えていきたいと考えています。
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