日立ソリューションズグループで西日本地域を担う日立ソリューションズ西日本は、地域の中堅・中小ユーザー企業を念頭に、パッケージソフトやクラウドサービスを切り口としたSIビジネスの拡大を推進する。今年に入ってから地域SE子会社や開発部門を再編して1100人を超える規模へ拡大した同社だが、地域産業の成熟度合いが増すなかでの市場深掘りのハードルは高い。新美雅文社長は、「グループの総合力を生かして、地域での競争力を高める」という考えを示している。
地域SE子会社では伸びしろは限られる
──国内市場の成熟で、ここ数年、日立グループ情報系子会社の再編が続いています。御社も今年1月に地域子会社が再編して発足し、西日本地域を担当されておられますが、担当地域の市場の状況をお聞かせください。 新美 まず、直近の再編についてですが、東名阪市場は親会社の日立ソリューションズ本体が中心となって取り組み、当社は中四国以西の西日本地域を担当します。東北以北は別のグループ会社の日立ソリューションズ東日本が担当する布陣へと変えました。当社については、広島の旧日立中国ソリューションズと、福岡の旧日立ソリューションズ九州の2社が合併し、さらにこの4月、九州のグループ開発部門約170人も統合しましたので、計1100人を超える規模に拡大しています。
国内市場の成熟もそうですが、一番の目的は日立ソリューションズグループ全体の持続的成長のためです。もともと旧2社ともに日立製作所直系のSE子会社で、グループのソフトウェア製造を担当する役割も担っていたため、新会社でもいわゆるグループに向けた「内販」ビジネスが4割ほどを占めます。しかし、一方で一般顧客に向けた「外販」ビジネスもおよそ6割あり、むしろこれからは「外販」を伸ばしたい。この力をつけるための再編と捉えています。
──国内IT投資を地域別でみると、首都圏がおよそ7割を占めるなど、偏りがあります。「地域」という難しい市場をどう深掘りしますか。 新美 確かに東名阪に比べれば、民需が限られている部分はあります。今年1月、日立ソリューションズ西日本社長として広島に赴任してからこれまで、担当地域の60社ほどの顧客を訪問してきました。多くは中堅・中小ユーザー企業で、情報システム部門の人員が限られています。ITはどんどん進化しますし、ITを活用しなければグローバル競争の荒波のなかで勝ち残れないことは明白。であるならば、当社が地場のユーザー企業に密着して、IT活用を徹底的に支援してさしあげる。これが当社の使命であり、ビジネスを伸ばす主な領域だと捉えています。
そもそもグループの地域SE子会社を総動員して開発する巨大プロジェクトは、国内市場の成熟度が高まるにつれて、そうそう期待できませんし、いつ発生するかわからない大規模プロジェクト頼みの経営もどうかと思います。だからこそ、地場ユーザーに密着したビジネスを重視していきたい。
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