インドに本社を置くコンサルタント系システムインテグレータ(SIer)のタタコンサルタンシーサービシズ(TCS)ジャパンが、日本での事業拡大に力を注いでいる。インドで大型プロジェクトを統括し、リーダーとしての資質を磨いてきたカマラ・カンナン氏は、日本法人の社長として、社員を1000人まで増員し、売上高500億円を目標に掲げている。インド人社員の日本語学習に力を入れる一方、日本人社員の“インドナイゼーション”に取り組んで、グローバル人材として日本企業の海外ビジネスをIT面で支援するための体制を築こうとしている。
成長するために投じた数百万米ドルは近々回収
──御社は、日本で事業を展開しているインド系SIerのなかでは規模の大きさが際立っています。そのTCSジャパンの最近のビジネス状況をおたずねします。 カンナン TCSはグローバルでも成長を遂げていますが、日本では、グローバルを上回る勢いで事業を伸ばしています。成長率が高いのは、まだ母数が小さいこともありますが、このところ活発な日本企業の海外進出が追い風になって、着実に事業が拡大しつつあります。
海外の不慣れな環境で戦う日本企業が求めるのは、「真のグローバルパートナー」であると捉えています。どんな国や地域であっても高い品質でシステムを届け、お客様に「ITのことは考えなくていい」という安心感を与える。インドに本社を置く当社は、進出先として注目を浴びているアジアに深く根づいており、日本企業にとって頼りになるパートナーであると自負しています。
──グローバル展開に取り組んでいる企業を主なターゲットに据えておられるということですね。 カンナン 当社は、現在、外資系企業の日本法人のほかに、日本企業の海外オフィス、日本企業の国内オフィスの三つのタイプのお客様にITサービスを提供しています。
今後、事業を伸ばすために力を入れる対象が、海外に進出する日本企業であることに間違いはありません。海外進出を計画している企業はどんな課題を抱えているのかを日本できめ細かくヒアリングし、インドにある開発センターなどを活用して、スピード重視でシステムをグローバルで設計します。
こうした展開ができるようにするため、2年前から、数百万米ドルを投資し、営業・技術の人員体制を強化してきました。日本企業の海外進出が加速化しているので、そんなに期間をおかずに、投資の回収ができると見込んでいます。
もちろん、インド系SIerとして日本で事業を展開するのは、決して簡単なことではありません。言葉や文化、商慣習の違いなど、障壁が多い。しかし、努力すれば、壁は必ず乗り越えることができると確信しています。
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