創業の地、岐阜市に現在も本拠を置く電算システムは、「地方の雄」にとどまらない存在感を示している。SIやソフト開発を中心とする情報サービス事業、そしてストックビジネスで同社の成長を支えてきた収納代行サービス事業という二本柱は、安定した伸びをみせているが、近年、とくに目立つのが、クラウドビジネスの先駆者としての活発な動きだ。「Google Apps」にいち早く着目し、現在ではグーグルの法人ビジネスそのものをけん引する主要パートナーになった。昨年10月には、NTTドコモとグーグルのクラウドビジネスで業務提携契約を結んでおり、さらなる事業拡大に向けた布石を着々と打っている。田中靖哲社長が描く、成長の青写真とはどんなものか。
ドコモとの協業でクラウド拡販に弾み
──社長就任から約3年半が経過しました。宮地正直さん(現会長)から社長のバトンを受け継いだこの期間を、ご自身ではどう評価しますか。 田中 業績は継続して伸びていますので、うまくいっているといっていいでしょう。毎年投資をして新しい種をまいて、それが具体的な事業として芽を出し、成果を生んでいく。その流れができてきたという手応えがあります。
──どんな新しい事業が伸びてきていますか? 田中 国際送金サービスが好調です。当社としては珍しく、完全なコンシューマサービスで、地道な営業が必要で大変ですが、コンビニから送金でき、手続きも簡単ということで好評です。また、昨年11月、岐阜県土岐市で建設を進めていた東濃データセンターも竣工しました。ホスティングを中心としたクラウドサービスのほか、コンビニ収納など自社のサービス向けインフラとしての活用もかなり進んでいて、当社事業の核になっていくと期待しています。
──SIビジネスも好調とか。 田中 当社は中古車オークションのシステムが得意で、その大型受注がありました。また、詳しくはまだいえないのですが、公共関連の案件もあり、SIやシステム開発は好調です。エンジニアもリソースが一杯いっぱいです。さまざまな事業者に多彩な決済サービスを提供する収納代行サービス事業は、安定した成長が期待できるストックビジネスであり、依然として当社の大きな成長エンジンですが、今年に入ってからは、情報サービス事業のほうが大きく伸びていますね。
──クラウド領域でも、グーグルのパートナーとしての活躍がめざましいですね。とくにNTTドコモとの業務提携はインパクトがありました。 田中 NTTドコモとの協業は、クラウドビジネスの量的な拡販に本腰を入れるということです。全国をカバーするドコモの営業力には当然、大いに期待していますし、われわれの導入コンサルティング、SI、サポートなどのノウハウを注入して、相乗効果を発揮すれば、顧客基盤を大幅に拡大することができると見込んでいます。クラウドビジネスの面的な広がりという意味で、この協業のもつ意味は当社にとって非常に大きいのです。
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