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チャイナモバイルが自社ブランド携帯販売 変革期の中国携帯電話市場

2004/03/29 20:24

週刊BCN 2004年03月29日vol.1033掲載

 中国の最大手移動体通信キャリアである中国移動(チャイナモバイル)が、自社ブランドの端末を設計・販売するという、いわゆる日本のキャリアモデルへの転換を図っている。日本の端末メーカーも出荷を拡大させるほどのポテンシャルをもつ中国の携帯電話市場が今、大きな変革の時期を迎えようとしている。

 上海新秦信息諮詢有限公司(上海サーチナ)が、2003年11月に行った移動体通信に関するマーケティング調査によれば、中国移動は最も信頼する通信キャリアで7割近くを占め、市場での確固たる地位を証明している。

その同社が、カスタマイズ端末の販売会社となる「中移県訊股フェン有限公司」を設立し、本格的に「中国移動ブランド」による携帯販売を開始する。 中国市場では、キャリアが端末メーカーに発注して、納入されたものをキャリアブランドとして販売するという販売モデルは確立していない。端末メーカーが、それぞれのブランドでシェアを競い合っているのが現状だ。これに対して、中国移動は昨年末から一部の地域で自社ブランド携帯の販売を開始。今年2月には海外メーカー6社(ノキア、モトローラ、ソニー・エリクソン、サムスン、NEC、三菱電機)による8機種の端末を発表していた。

 これまではカスタマイズ先が海外メーカーに限定されていた。しかし、今回設立される合弁会社には、中興通訊(ZTE)、華為、波導(バード)などの大手中国メーカーが資本参加するとみられ、中国市場での販売モデルが一気に崩壊するとの見方もある。中国移動にとっては、GSMとGPRSネットワークと端末販売のリンクによる新規加入者の拡大、さらにNTTドコモのiモードのようなデータ通信事業の成長が見込まれる。同社のJavaコンテンツメニューである「百宝箱」へ誘導させる機種を設計し、販売することも可能になるなどのメリットは大きい。

 しかし現在、このカスタマイズによる端末販売への参画に難色を示している中国メーカーも少なくないという。その要因の1つが、中国移動の買付価格があまりにも低いため、利益にならないというもの。中国メーカーは、海外大手メーカーのように自主開発能力やコア技術を有していないため、コストの引き下げができないことが大きな問題となる。中国の端末メーカーにとって、ようやく市場シェアが半数を超えるまでに積み上げてきたものが、一気に崩れさることにもなる。ここにきて、コア技術の有無という中国メーカーの問題点が改めて浮き彫りにされた形だ。

 この販売モデルの導入により、低価格な携帯電話が市場に流出することは必至。激しい競争のなかで、多くの中国メーカーが淘汰されることも予想されるが、市場全体では、盲目的な生産が抑制されるというプラス面もある。そして、何よりローエンドユーザーの獲得により、市場はさらに拡大するとみられる。(サーチナ・吉田雅史)
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