ホスティング事業を展開するKDDIウェブコミュニケーションズ(山瀬明宏社長)は、4月以降に「パートナー戦略室」を新たに設置し、チャネル強化と拡販に向けた取り組みを加速させる。高畑哲平・SMB事業本部事業部長は、「いわゆるコミュニケーションツールを提供していく」として、4月までにβ版をローンチすることを明らかにした。

高畑哲平
SMB事業本部事業部長
 「『Twitter(ツイッター)』の発展形で、理想はパートナーのブラウザデフォルトになるようなものを考えている」──。高畑・事業部長は、“コミュニケーションツール”の展開により、「クチコミ」を利用した「バイラル(ネット上のクチコミ)の最終形を目指す」と説明する。パートナー企業が抱えているエンドユーザーとの問題を解決する商材として展開していく方針だ。

 KDDIウェブコミュニケーションズの最大の眼目は、8000社にのぼるパートナーを“熱狂させる”チャネルの構築にある。そのためには二つの要素がある、と高畑・事業部長は話す。一つは、意識的なもので、「ワクワクして、格好いい」というイメージ。二つ目は、影響力のあるユーザーから枝葉のように他のユーザーに波及していくSNSのようなツール的なものだという。

 4月までにローンチするコミュニケーションツールのβ版では、二つのステップを踏んで展開していく考え。第一段階では、パートナー企業数100社に限定し、日常業務に役立つモジュールを新しく追加・伝播させていく。第二段階としては、オープン化プラットフォームを構築する。メールマガジンやダイレクトメールによるパートナー企業約8000社への情報伝達は難しいため、webベースのアプリケーションを提供。パートナー企業同士の連携強化を見据えている。

 同社は、平均20アカウントの中小企業がユーザーの中心を占める。「地方には、IT知識に乏しい企業が多い」(高畑・事業部長)。メールのアカウント設定から手掛けられるウェブ制作企業など、中小規模の地場ベンダーが拡販している。同社の「ビジネスパートナー制度」の特徴は、審査がなく、ワンクリックで登録できるほか、販売ノルマがなく、最大40%の還元率などの点。中小規模のパートナー企業が揃うのも、影響力の偏りを避けるためで、「クチコミ」ベースの草の根マーケティングで拡販している。目指すは「最大のバイラルネットワーク」だ。

 同社にとって、市場の変化による環境要因が追い風になろうとしている。ホスティング市場は、これまで高い成長率を維持してきたが、飽和状態に陥っているという見方がある。そのほかの懸念要因を挙げるなら、国内の人口減少という問題が控えている。一方で、高畑・事業部長は「スキルをもった企業は一巡した。スキルが要らないメニューの成長は鈍化していない」と、中小企業向けビジネスでは十分な伸びしろを感じている。(信澤健太)