アドビシステムズ(クレイグ・ティーゲル社長)は電子書籍などメディアが多様化することを追い風に、新版のクリエイティブデザインツール「Adobe Creative Suite 5 Master Collection(CS5)」の年間売上高を、前版「CS4」に比べて20~25%増やすことを目指す。DTPといったデザイン制作に携わる「クリエイティブプロ」と、ブログなどで利用する「プロシューマ」の両ターゲット別にプロモーションを展開中だ。現在はパートナーによるセミナー開催やチュートリアルウェブを拡充し、「CS5」の製品特性をアピールするなかで、早期の普及を目指している。

クリエイターと個人の両面展開

 「CS」は、1年半ごとにバージョンアップを行ってきた。新版「CS5」は5月28日の発売で、「コンテンツアプリケーションを素早く、簡単に、あらゆるメディアに展開できる」(古村秀幸・クリエイティブソリューション部グループマネージャー)のが特徴だ。昨今の“電子書籍ブーム”に乗って、クリエイターの注目度が高まっている。

 5~6月は、同社主催で「CS5」の製品セミナーを開催。わずか2か月間で数千人を集客したという。7月からは、富士ゼロックスやTooなど、認定パートナー10社が主体となり、主に「クリエイティブプロ」を対象にしたセミナーが始まっている。目標は5大都市・50か所で開催し、6000人の集客においている。

 チャネル施策の責任者である佐野守計・チャネルセールス本部長は「DTPの世界がウェブへ移行することをパートナーも肌で感じている。既存顧客を中心に教育面も含め、アップセルに手応えを感じているようだ」と話す。実際には、これまで開催したセミナーの参加者の約6割から見積書の提出を求められるほどの成果が出ている。

 一方、「プロシューマ」向けでは、家電量販店での展開を強化。ビックカメラやヨドバシカメラなど「プロシューマ」が多く訪れる旗艦店を中心に、店頭デモや陳列強化などを実施中だ。日本法人独自の施策として、チュートリアルウェブ「DEKIMAGA」(http://dekimaga.jp/)をオープンし、ウェブ作品の投稿や制作過程のデモなどを掲載。「CSのツールをこれから購入して使う人にも分かりやすく、製品特性を知らせるサイトになっている」(古村グループマネージャー)という。

 こうした支援サービスは、「クリエイティブプロ」向けにも、新たに提供を開始している。「CS5」購入者が利用でき、五つの機能が使える「CS Live」というオンラインサービスがそれだ。さまざまなブラウザやOS、ウェブコンテンツのテストが実施できたり、直接オンラインでデザインをレビューできるほか、オムニチュアのウェブ解析の利用が可能。現在は無償サービスだが、将来的に有償提供する。(谷畑良胤)

製品プロモーションを担当する佐野守計本部長(左)と古村秀幸グループマネージャー