セイコーエプソン(碓井稔社長)と販売子会社のエプソン販売(平野精一社長)は、8月24日、新製品発表会を開き、ビジネス向けのインクジェットプリンタ6機種、ページプリンタ5機種、計11機種の新製品を一挙に投入することを明らかにした。「オフィスで使うプリンタはレーザープリンタ」という常識を覆すことを目的に、インクジェット機のラインアップを充実させ、インクジェットとページの両プリンタでA4機を拡大したほか、A4機を重点化していた同社がA3インクジェット複合機を出すなど、より幅広い層への製品浸透を狙う。

 インクジェットの複合機は、総印刷枚数10万枚、最大580枚の大容量給紙でA4対応の「PX-B750F」(カラー約24枚/、モノクロ約26枚/分)、2段フロントカセットタイプで最大500枚の大容量給紙を実現したA3ノビ対応の「PX-1700F」、有線・無線LAN対応で必要十分な機能をコンパクトにまとめたA3ノビ対応の「PX-1600F」の3機種。A3ノビ対応の2機種は「高速MACHヘッド」を搭載し、1分間にカラー・モノクロとも最速で約34枚の印刷ができる。 

国内最小・最軽量クラスのA4ページ複合機。「LP-M120」(左)と「LP-M120」

 A4対応の「PX-B750F」は、新開発のヘッドを採用したことで、水平解像度600dpiを実現。全色顔料インクで水漏れに強く、マーカーもにじみにくい。いずれの機種も、電子メール対応機器なら、ソフトウェアやプリンタドライバを使わず、写真やドキュメントをメールでプリンタに送るだけで印刷できる。

 インクジェットのシングルファンクション(シングル)機としては、総印刷枚数が10万枚、最大580枚の大容量給紙に対応し、「高速MACHヘッド」を搭載したA4対応カラープリンタ「PX-B700」(カラー約24枚/分、モノクロ約26枚/分)と、カラー・モノクロともに毎分約34枚の高速印刷を実現し、建設業界の設計図面や流通・小売業のPOPなどの用途に最適なA3ノビ対応カラープリンタ「PX-1200」、モノクロ文書から図面やPOPなど多彩な印刷用途に効果を発揮するA3ノビ対応のカラープリンタ「PX-1004」の3機種をラインアップした。すべて機種がメールプリント機能に対応している。

 一方、ページプリンタの新製品としては、複合機が3機種、シングル機の2機種をラインアップ。複合機は、A4対応カラー複合機「LP-M620F」(カラー12枚/分、モノクロ15枚/分)と、A4モノクロ対応の複合機「LP-M120F」「LP-M120」(いずれも24枚/分)「LP-M620F」は、A4カラー複合機で国内最小・最軽量クラスのコンパクト設計(幅410.0×奥行き389.0×高さ337.5mm、重さ約15.0kg)だ。消耗品は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのトナーカートリッジ4本だけ。感光体は本体に内蔵しているほか、定期交換部品も不要だ。A4モノクロ複合機の「LP-M120F」と「LP-M120」も、A4モノクロ複合機では国内最小・最軽量クラスを実現(幅410.0×奥行き389.0×高さ319.0mm、重さ約9.9kg)。レディー時無音(暗騒音)と静かで、給排気口がないのでデスクサイドでかすかな風を感じることもないという。

 ページプリンタのシングル機の新製品は2機種。帳票や配布資料など、ドキュメントの大量印刷に適したA3対応モノクロページプリンタで毎分32枚印刷できる「LP-S3200」と、毎分29枚の印刷ができる「LP-S2200」で、いずれも高速印刷と印刷解像度2400dpi相当の高精細印刷に対応する。新機能の「モノクロ視認性向上機能」を使うことで、黄色などカラー色部分をモノクロで出力すると薄く印刷されることを防ぎ、色文字をくっきり印字する。今年12月には、新たなプリンタードライバを提供し、カラー色部分に網かけで強調できるようにする計画だ。 

「ビジネス向けプリンタはレーザーだけではない」と語るセイコーエプソンの奥村資紀・業務執行役員情報画像事業本部長

 セイコーエプソンの奥村資紀業務執行役員情報画像事業本部長は、「クラウドコンピューティングやスマートフォンが普及しているが、これらと連携して、当社のプリンタをビジネスシーンになくてはならな存在にしていく。『ビジネス向けプリンタは、ページプリンタ』というイメージがあるが、この常識を覆し、用途に応じてインクジェットプリンタでも対応できる機器を揃えた。インクジェット機は、新エンジンを搭載し、高精細を実現するために、一部新製品ではヘッドにレーザーではなくLEDを採用した」と話し、技術面での大きな革新があったと説明した。

 販売の責任者であるエプソン販売の中野修義取締役販売推進本部長は「発表した新製品のうち、ページプリンタは高速大容量に、インクジェットプリンタは少量多品種の印刷に利がある。インクジェットプリンタは、国内レーザープリンタ市場の一部を侵す可能性があるほどの製品だ。A4機のラインアップを一挙に拡大して幅広い層への浸透を目指すほか、A3インクジェットプリンタで提案の幅を広げる。また、A3機の節電プリンタを強化し、ターゲットである官公庁などを攻める」と語った。

 販売台数目標は、インクジェットプリンタが複合機とシングル機を合わせて今後1年間で30万台、ページプリンタは複合機3機種で3万台、シングル機2機種で4万台を目指す。9月15日以降、順次販売を開始する。(谷畑良胤)