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米スティールウェッジ、アジア統合本部を東京に設置、S&OPソリューションの需要に応える

2012/07/23 14:38

 クラウドベースの販売&事業統合計画(S&OP)ソリューションを提供する米スティールウェッジ・ソフトウェアは、7月、アジア統合本部として東京にスティールウェッジを設立し、アジア太平洋地域での事業展開の強化に乗り出した。代表取締役には、EXEテクノロジーズやI2 テクノロジーズ、日本インフォア・グローバル・ソリューションズなどで経営幹部を歴任した津村謙一氏が就いた。

 米スティールウェッジのS&OPソリューションは、年商5000億円以上のグローバルメーカーが主なターゲットで、エマーソン・エレクトリックやレノボ、ダウケミカルなど、アジア太平洋地域に本社をもつ企業を顧客に抱える。これらの企業は、欠品や過剰在庫を減らし、利益率を1~2%向上させることができたという。

 Glen Margolis(グレン・マーゴリス)CEOは、「統合された単一のプラットフォーム上で、財務計画や調達計画、需要計画などのS&OPソリューションを提供しているのが強みだ。SAPなどのように複数のモジュール、製品を組み合わせる必要がない」と優位性を強調する。

 S&OPソリューションの提供を通して、企業や部門を横断した経営情報の連携をはじめ、需要と供給の一括管理や売り上げ、利益・数量計画の分析、what-if(仮定)シナリオの策定を可能にする。「what-ifシナリオを策定することのメリットは、重要な顧客を失ったら営業や財務にどのような影響が生じるのか、従業員全員がそのインパクトを共有できるという点だ」(マーゴリスCEO)。

 2011年の自然災害の影響だけをみても、アジア太平洋地域に拠点をもつ大手製造企業のS&OPソリューションに対する需要は20%以上増え、世界で最も高い需要の伸びをみせたという。マーゴリスCEOは、「グローバル化が進み、複雑性が増すなかで、遠い地のできごとが日本にも影響を及ぼすようになっている。日本企業はグループ企業や部門間の連携が取れておらず、地域別に事業を展開してきたが、経営手法を変えていく必要に迫られている。もともと課題として認識されていたが、東日本大震災の津波によって、『変わらなければならない』という需要が高まった」と話す。津村代表取締役も「津波とタイの洪水が日本企業に大きなインパクトを与えた」とみる。

 日本法人の設立に合わせて、大手コンサルティングファームやSIerとの協業体制の構築を急ぐ。すでに、野村総合研究所と新日鉄ソリューションズがパートナー企業に加わった。今後は、グローバルで提携する関係にあるプライスウォーターハウスクーパースやアクセンチュアとの連携も深めていく。(信澤健太)

グレン・マーゴリスCEO(右)と日本法人の津村謙一代表取締役
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