日本情報産業(NII、田島浩社長)は、ペーパーレス試験のCBT(コンピュータベースドテスティング)事業の拡大を図る。民間の中小規模の試験でのCBT活用はこれまでもあったが、数万人単位の大規模な試験や、国家試験のほとんどはマークシートなど“紙”を使った試験が主流だ。NIIはここに着眼し、大規模試験でもCBTの活用を広げる取り組みを推進して、教育関連事業の売り上げ拡大につなげる。

榎本賀津也
営業部長
 具体的には、CBTシステムを開発する日立ソリューションズと、試験会場の運営に強みをもつ興和と協業し、NIIは主にCBTシステムを動かすデータセンター(DC)の運用部分を担う。NIIによれば、「CBTを活用し、ペーパーレス化を実施することで試験単体のコストは単純計算ベースで2割ほど削減できる」(榎本賀津也・営業本部第三営業部長)と試算しており、運営者であるユーザーのコスト削減を実現できると訴求する。

 CBT導入でネックとなるのは、紙の代わりとなるパソコンの台数が限られていることにある。NIIでは会場運営を担当する興和と組むことで2000台規模のパソコンを用意できる体制を整えたが、これを超える人数になる場合、試験の開始時刻や試験実施日をさみだれ式にずらすことで対応するしかない。この場合、不公平にならない範囲で試験内容を差し替える必要がある。例えば、数回分の問題をあらかじめ作成しておき、システム上でランダムに差し替えることで「公平性を保つ方式」(榎本部長)などが有力視されている。

 国家試験で本格的にCBTを導入したのは、情報処理推進機構(IPA)の「ITパスポート試験」が有名で、日立ソリューションズなどが日本の国家試験として初めてCBT方式の導入を支援した。「ITパスポート試験」は、ITの基礎知識を習得していることを証明するという幅広い受験者を想定したもので、受験者数も多い。NIIは過去40年余りにわたって、紙ベースではあるものの、こうした大規模な国家試験の受託計算などを請け負ってきた“PBT(ペーパーベースドテスティング)の隠れたガリバー”としての実績がある。

 国家試験のように規模が大きくなればなるほど「マークシートをはじめとする紙ベースの試験が主流になる」(榎本部長)という現状を踏まえ、CBTに対する潜在需要は大きいとNIIはみている。今回の日立ソリューションズと興和の3社連携を軸に、CBT導入のハードルになっている規模の限界を解消する提案を強化していくことで、NIIの教育関連事業の売り上げを向こう3年で直近の1.5倍程度に拡大していく目標を掲げている。(安藤章司)