日本事務器(NJC)は、医療ITビジネスで電子カルテと介護、地域連携の三つの重点ポイントに力を入れる。同社はNEC系の電子カルテを中心に全国約250病院へ納入してきた実績をもつ医療IT分野の有力SIerで、今後3年間で新たに50病院への電子カルテ納入を目指す。現状では同社がターゲットとする100~300床規模の病院全体の電子カルテ普及率が3割程度と成長余地が大きいだけでなく、訪問医療や介護現場でスマートデバイスやクラウドを活用した情報共有や、地域全体で医療・介護・健診などの情報を共有する地域連携でも商機を見込んでいる。

 日本の医療費は年間およそ1兆円規模で増え続ける状況が続いており、医療費の抑制が大きな課題となっている。介護費も増加し続けていることから、医療や介護、健診などとの情報共有も強く求められている。NJCの岡山公彦ヘルスケア・文教ソリューション事業推進部長は「NECと連携を密にとりながら、われわれのビジネス領域を拡大させていく」方針を示す。

 また、NECの地域医療連携ネットワークシステムである「ID-Link」を最大限に活用しながら、地方圏の地域医療連携ビジネスの活性化を図る。医療・介護のリソースが限られている「地方圏のほうが医療連携に積極的で、すでに連携による成果を出している地域も少なくない」(NJCの青木高宏・医療・公共ソリューション販売推進部長)と分析する。

NJCの青木高宏部長(左)と、岡山公彦部長

 介護や訪問医療の分野では、スマートデバイスやクラウドを活用したサービスを拡充する。少子高齢化が進むなかで、高価でコストのかかる医療や介護施設だけで患者や介護利用者を受け付けるのは限界があるとされ、在宅での介護・医療の充実が指摘されている。こうした場合、介護や医療従事者はスマートデバイスを片手に訪問し、必要な情報をクラウドなどから取り出すというニーズが高まる。

 在宅分野においても医療と介護をどう連携させるかはまだ未確定な部分が多いが、NJCは技術的な対応力を高めることで市場のニーズの先取りを狙う。将来的には社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の医療分野への応用も検討されるなど、医療ITビジネスの変化をビジネスチャンスにつなげることで事業拡大を目指す。(安藤章司)