その他
情報サービス業界が率先し新制度を活用せよ 社会への説得力が増して自信につながる
2013/08/01 14:53
週刊BCN 2013年07月29日vol.1491掲載
マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)を巡って、情報サービス業界内で早くも議論が巻き起こっている。現段階のマイナンバーは、その名の通り社会保障と税金の分野限定だが、このままでは住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)と同様、一般市民には「何が便利になったのかよくわからない」システムがもう一つ生まれるだけだろう。後になって、「ITゼネコンの皆さんは、マイナンバー制度で儲かりましたか?」と、情報サービス業界に対する社会の風当たりが強くなるのも目に見えるようだ。
情報サービス産業協会(JISA)の浜口友一会長は、「住基ネットの失敗は繰り返さない。日常的に使って便利なシステムにしたい」と明言。例えば首都圏で多くの人に愛用されている鉄道系電子マネーのSuicaやPASMOのような利便性をイメージする。目下の注目領域は、医療・介護へのマイナンバーの適用である。SuicaやPASMOでは絶対に入り込めない領域で、社会全体のコンセンサスが求められる分野の一つだからだ。
今でも、大手ITベンダーが提供する「地域医療連携ネットワークシステム」を使えば、病院や診療所、健康診断、介護施設など、どこへ行っても自分の医療情報の共有が可能になるが、地域限定という点で限界がある。マイナンバーをベースにすれば、全国区になるだけでなく、将来は学校やフィットネスセンター、配食サービス事業者など、他業種・業態とも幅広く連携して、生活習慣病の予防などに役立てられる。保険会社と連携すれば、過去の診療履歴から「あなたに最適なガン保険はこれです」「こう組み合わせれば保険料が安くなります」とシミュレーションも容易になる。ビッグデータを解析すれば、新薬開発にも寄与するだろう。
しかし、IT業界を取材をしてみると、「病歴によっては保険料が逆に高くなるのではないか」「民間利用に本人の同意を求めたとしても、高齢の人たちは業者の言うがままになるのではないか」など、不安の声が聞こえてくる。「マイナンバーは、ちょっと……」とアレルギー反応を示す人もいる。マイナンバー制度というITの塊をつくるのは、ほかならぬ日本の情報サービス業界自身であることを忘れてはならない。役所が決めた仕様書通りにつくるだけでは、住基ネットのケースと同じになってしまう。
であるなら、情報サービス業界で率先してマイナンバーを使ってみてはどうだろうか。国に働きかけて、例えば「残業が多く3K、4Kといわれる情報サービス業の勤務体系をマイナンバーで紐づけて調べる」「情報サービス関係の健保組合と連携して全国区で健康管理を行う」「医薬業界と連携して健康情報をもとにしたビッグデータ解析を試みる」。情報サービス業界が率先して活用すれば、社会への説得力が一段と増すというものだ。(安藤章司)
マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)を巡って、情報サービス業界内で早くも議論が巻き起こっている。現段階のマイナンバーは、その名の通り社会保障と税金の分野限定だが、このままでは住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)と同様、一般市民には「何が便利になったのかよくわからない」システムがもう一つ生まれるだけだろう。後になって、「ITゼネコンの皆さんは、マイナンバー制度で儲かりましたか?」と、情報サービス業界に対する社会の風当たりが強くなるのも目に見えるようだ。
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