ITホールディングス(ITHD)グループのTIS(桑野徹会長兼社長) は、サービス型商材を拡充している。同社主力商材の総合決済プラットフォーム「PAYCIERGE(ペイシェルジュ)」の機能の一つとして、新しくデジタルクーポンを追加。早ければ今年秋にも国内で第1号ユーザーを獲得する。

 デジタルクーポン機能は、米国のベンチャー企業であるCardSpring(カードスプリング)のサービスを自社商材のラインアップに採り入れたもので、2017年をめどにデジタルクーポン関連サービスで50億円の売り上げを目指す。

 CardSpringのデジタルクーポンの最大の特徴は、クレジットカードとの連携にある。デジタルクーポンはソーシャルメディアなどを通じてユーザーに配信するが、そのクーポンはユーザーのクレジットカードと紐付けられている。ユーザーは対象の店舗で買い物や食事をする際、このクレジットカードを使えば割引を受けられる仕組みだ。紙のクーポン券や、ネットで配信されたものを印刷して持参する方式では、誰が、いつクーポンを利用したのかがわかりづらく、「販促には役立っても、マーケティング戦略には反映しにくい」(CardSpringのジェフ・ウイナーCTO)という弱点があった。

 例えば、Aさんはほぼ毎日スターバックスに通っていた。しかし、ある日を境に店に来なくなった。それをシステム側で検知し、Aさんだけにクーポンを配信。再び足を運んでもらえるかどうかを追跡するという使い方が可能になる。

 課題は、ユーザーがクレジットカードを使うとは限らないということ。現金には対応できない。TISの「PAYCIERGE」はプリペイド方式やデビット方式にも対応しているので、非クレジット決済も技術的には可能だが、普及率の高いクレジットカードに誘導するのが合理的だ。米カリフォルニア州にあるTIS米国法人TIS R&Dセンターの友金正雄・事業開発責任者は、「媒体となるソーシャルメディアの信頼度や店舗のブランド力、クーポンによるインセンティブを高めるなどの総合的な対策でクリアできる」とみる。

TIS米国法人の友金正雄・事業開発責任者(左)とCard Springのジェフ・ウイナーCTO

 実際、米国では今年に入ってからCardSpringのサービス利用者が急増しており、利用店舗数は数万店規模、媒体社は100社余り、1日のトランザクションは100万を超えてきているという。TISのカード決済システムの構築実績は40年余り。「日本を代表するカード決済プラットフォームベンダー」(ウイナーCTO)であることから、CardSpringは日本でのビジネスパートナーにTISを選んだ。ITHDグループでは、「PAYCIERGE」に代表されるプラットフォーム型の「サービス型商材の拡充」(ITHDの前西規夫社長)に力を入れており、今回のCardSpringとの連携はこうしたグループ戦略の一環と位置づけられる。(安藤章司)