東京大学医科学研究所(東大医科研、清野宏所長)ヒトゲノム解析センターと日立製作所(日立、東原敏昭社長兼COO)は3月26日、ヒトゲノム解析用スーパーコンピュータシステムを刷新し、これを「Shirokane3」と命名し、4月1日に本格稼働を開始すると発表した。

 Shirokane3は、従来システム比約10倍の速度でヒトゲノム情報の解析を実現するとともに、大容量のストレージ装置によって従来システム比約33倍の約100万人分のデータを保存することができる。今回の稼働により、膨大なデータからヒトゲノムが変異したところを高速に検索・特定し、ヒトゲノム変異と疾患要因の因果関係分析や、治療効果の高い医薬品の予測が可能となる。

 これによって、東大医科研ヒトゲノム解析センターは、個人のヒトゲノムの特徴に応じたがんや感染症などの予防・診断・治療法の研究を加速し、個人の特性に応じた個別化医療の実現を目指す。

 なお、「Shirokane3」は、日立が構築し、今後の安定稼働を支援する。「Shirokane3」では、422TFLOPSの総合理論演算性能を実現。また、ストレージは、本格稼働の開始時点で、合計34.2PBの記憶容量を有し、適時の増量が容易にできる構成にしている。環境に配慮したシステム運用により、東京大学サステイナブルキャンパスプロジェクト(TSCP)の取り組みである、低炭素キャンパスづくりの推進を支援する。

 このほか、ヒトゲノムを扱った研究では、ヒトゲノム所有者の個人情報を厳重に管理するため、セキュリティを確保したうえで、必要に応じて研究者やシステム運用者がヒトゲノム情報をもとに個人を特定できないよう、匿名化の手続きを行っている。あわせて、東大医科研ヒトゲノム解析センターでは、ヒトゲノム情報を扱うシステム領域を外部のインターネットと完全に隔離し、ログイン認証に生体認証を採用する高セキュリティ領域を確保している。

スーパーコンピュータシステムShirokane3のイメージ

 また、日立では、今回のシステム構築にあたりシステムの稼働状況を監視する機能を開発した。同機能は、システムにかかる負荷をリアルタイムに監視し、効率的な分散処理を行うことでシステム障害の発生を防止するもの。さらに、「Shirokane3」は、用途に応じてシステム構成を柔軟に変更することが可能。例えば、ヒトゲノム解析に関する国際プロジェクトを実施する際、海外の研究機関とヒトゲノム解析手法やシステム構成などを共通化する必要がある場合も、迅速に対応することができる。