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アビーム、プリンタ従量課金システムの短期導入でSAPジャパンの最優秀賞を受賞

2016/03/30 19:08

 アビームコンサルティング(岩澤俊典社長)は、SAPジャパン(福田譲社長)が3月に開いた「2016 SAP Partners Summit Day」で、パートナーベンダーを表彰する「SAP AWARD OF EXCELLENCE 2016」の最優秀賞「プロジェクト・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。セイコーエプソンの販売子会社、エプソン販売のプリンタ課金サービス「エプソンのスマートチャージ」のビジネス基盤を「SAP Hybris Billing」を活用し短期間で立ち上げたことなどが評価された。

 エプソンのスマートチャージは、大容量タンクを搭載したインクジェットプリンタを基本料金がA4タイプで5000円から、A3タイプで8000円から利用できる従量課金型のサービスモデルで、機器や消耗品に関連する初期導入コストが不要。月額基本料金には、一定枚数の印刷と保守、消耗品などがオールインワンで含まれている。顧客は、月額定額制で超過分を従量課金制で使え、調達や保守、消耗品などの管理のわずらわしさを解消できる独自の仕組みだ。

「エプソンのスマートチャージ」の構築で最優秀賞を受賞した
アビームコンサルティングの渡辺巌執行役員

 スマートチャージの実現に向け、エプソン販売の親会社、セイコーエプソンの会計システム刷新を支援しているアビームは、顧客・契約管理から課金計算、請求処理、請求明細書までの業務プロセスのフロースルー化を実現。加えて、プリンタの印刷枚数に応じて課金する料金プランや「グループ割引」など、煩雑な従量課金と請求機能を構築したほか、SAP Hybris Billingを利用してノンプログラミング開発を実行し、拡張性の高い課金計算機能を要件定義から8か月間という短期間で実現した。

 今回の最優秀賞の受賞理由は、アビームがまったく新しいエプソン販売のスマートチャージというビジネスモデルを理解し、そのプロセスの策定からシステム構築、導入支援までを一貫してサポートし、短期間で実現したことだけではない。プリンタの機器内のデータを収集して活用するという、煩雑なデータ収集・分析が伴うIoT(Internet of Things)型のビジネスモデルを早期に構築したことも評価された。

 アビームの渡辺巌・執行役員プリンシパルデジタルトランスフォーメーションビジネスユニットIoTセクター長は、「競合のプリンタメーカーにはないサービス形態と価格モデルをエプソン販売が構築するうえで、当社が従来もっていた、SAP Hybris Billingなどを活用した複雑な従量課金システム構築のノウハウが生かせた。とくに、使った分の請求以降の業務処理やIoTの部分で力を発揮できた」とタイトな構築スケジュールと厳しい条件を、自社のコンサルノウハウや実績とSAPのソリューションで乗り切れたという。

 スマートチャージの「グループ割引」は、複数台のプリンタを導入した場合、一方のプリンタが契約印刷枚数をオーバーした際に、もう一方のプリンタに超過した枚数を振り分けるサービスだ。競合他社には無い独自のサービスで、スマートチャージ導入企業の約3割が契約しているという。それだけに、市販のパッケージで構築できるレベルではなく、スクラッチで構築した場合は、開発費が高額になる。

 「グループ割引」の事案は、課金システム設計中に発生した要件だったが、SAP Hybris Billingの柔軟な開発環境とアビームの緻密なサポートで期限通りに実現できた。SAP Hybris Billingの効果は、それだけでなく、リース契約への対応や消耗品の自動補充、官公庁向けメニューなどの機能追加でも力を発揮したという。

 渡辺執行役員は「エプソン販売は、スマートチャージで採用されたSAP Hybris Billingベースの課金システムをグローバルに展開することを検討している。海外展開についてノウハウがある当社が、より一層力を発揮できると思っている」と、エプソン販売への継続的な支援に気を引き締めている。
(谷畑良胤)
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