フィリピン貿易産業省・輸出マーケティング局(DTIーEMB)は、ITO・BPO産業促進の一環として、5月10日、関連企業を招いた「フィリピン・ITO/BPO展示商談会」を、東京・大崎ブライトコアホールで開催した。出展には、ITO・BPO事業を手がける企業15社が参加。また、展示会に合わせて、フィリピンIT産業の情報産業関連政府機構の要人による、フィリピンのITO・BPO産業の最新状況や政府の産業支援策、成功事例を合わせた講演セッションも設け、約200名の来場者にフィリピンのIT産業の今を伝えた。

 今回のイベントは、DTIーEMBが主催し、駐日フィリピン大使館やフィリピン政府科学技術省・情報通信技術局(DOSTーICTO)、フィリピンソフトウェア産業協会(PSIA)、フィリピンIT&ビジネスプロセス協会(IBPAP)の協力で行われた。

 国交正常化60周年を迎える両国の友好関係に触れた駐日フィリピン大使館マヌエル・M・ロペス特命全権大使は、近年、フィリピンにおける金融自由化や競争法など、制度緩和について語った。これによって、アセアン全地域を視野に入れた事業展開の促進につながるとアピール。

 フィリピンでは、製造業再復興の先駆けで「包括的な自動車産業再生プログラム(CARS Program)」の施行に着手。財政面および非財政面の一連の優遇策で、自動車市場拡大を狙う。総人口6億人にのぼるASEAN経済共同体(AEC)の発足で、統合が進む巨大市場に参入を図る日本企業にとって、こういった政策面での制度緩和は、外せない重要なポイントとなる。また、フィリピンはASEAN地域において、唯一のEU特恵関税制度(GSP)適用国だ。EU域への非関税対象には6000以上の品目が入る。さらに15年には米国GSP適用国にもなり、3500品目が非関税で米国市場にアクセスできる。グローバルの物流やサービス拠点としても優位性が高い。

駐日フィリピン共和国 マヌエル・M・ロペス特命全権大使

 DOSTーICTOのモンチト・B・イブラヒム副局長とPSIAのジョナサン・デ・ルズリアガ会長は、ICT産業における税制上および教育面での優遇策について述べた。最大8年間、企業所得税免除延長可能や輸出税、埠頭税の免除、新しいIT専門分野の教育制度の推進など、継続的に優遇措置を適用し、日本企業と一緒に経済成長をけん引するITO・BPO産業の一層の技術向上、品質向上を狙いたいと述べた。フィリピンは、20~44歳人口が47%で、若年労働力が豊富だ。ITO・BPO従事者は、01年の5000人から、わずかの十数年で100万人を越えた。そして、16年には130万人の雇用、250億米ドルを売り上げる見込みだ。

フィリピン政府科学技術省・情報通信技術局 モンチト・B・イブラヒム副局長

フィリピンソフトウェア産業協会 ジョナサン・デ・ルズリアガ会長

 2016年の世界アウトソーシング拠点上位100都市に、マニラとセブが選ばれた。また、日本は、フィリピンにとってITOサービス輸出で、米国に次ぐ最大の相手国だ。ただ、日本のオフショア先として、真っ先に思い浮かぶのは中国。しかし、人件費の高騰や潜むカントリリスクの分散を図る動きも活発化している。単にコスト削減ではなく、委託国の基本情報や産業発展基本戦略、インフラ環境など、総合的な分析・判断を迫られている。今後、フィリピンが日本企業にとって、オフショア発注先を越えたグローバルサービス拠点としての役割を果たすようになるか期待がかかる。

鄭 麗花