【上海発】インターネットにつながるコネクティッドカーの市場が拡大している。世界最大の自動車市場を抱える中国でも同様で、現地のIT企業が研究開発を進めている。中でも、阿里巴巴集団(アリババグループ)と中国の自動車メーカーが共同設立した「斑馬網絡技術」(バンマーネットワーク)は、コネクティッドカーのプラットフォームの普及を目指している。(上海支局 齋藤秀平)

 2015年に設立したバンマーネットワークは、18年に16億元(約253億円)の資金調達に成功し、中国国内で話題になった。既に、評価額が10億米ドルを超えるユニコーン企業になったともいわれている。わずか数年で注目されるようになったのは、阿里巴巴集団(アリババグループ)と中国の自動車最大手・上海汽車集団が共同設立した企業であることが大きい。日本語でシマウマを示す社名には、自動車業界を白、インターネット業界を黒と例え、両業界を融合させて革新的なブランドを目指すという意味などが込められている。
最新版となる「MARS V3.0」の操作画面

 バンマーネットワークの主要な製品は、車載システム「MARS」だ。アリババが開発したモバイルや産業、IoTデバイス向けOS「AliOS」上で構築しており、スマートフォンで利用しているアリババ系のサービスとの連携が可能。音声アシスタント機能のほか、実際の天気の状況などを踏まえ、人工知能(AI)がリアルタイムで最善のルートを提示してくれる機能や、ユーザー同士で位置情報を共有できる機能もある。

 バンマーネットワークによると、MARSの搭載車両数は60万台以上で、パートナーの数は70社以上。MARS上で利用できるのは、70%がパートナー系のサービスで、残り30%がアリババ系となっている。中国で影響力のあるアリババ系の企業という強みを生かしながら、着実にパートナーとの協力の枠組みを拡大しているといえる。
バンマーネットワークのカク飛CEO

 7月5日に上海市内で開催したイベントで、バンマーネットワークのカク飛CEOは「われわれは、インターネット業界のエコシステムだけでなく、スマートホームやスマート交通、スマートシティなど、幅広い業界とのパートナーシップも必要だ」と呼びかけた。メディアとの会見では、「われわれはコネクティッドカーの分野で、プラットフォーム型の会社を目指している。これから、もっと多くのお客様と協力する機会があると信じている」と語った。
日産デザインチャイナの天城裕之首席デザイナー(中央)

 一方、日系企業からは、日産自動車のデザインセンター「日産デザインチャイナ」の天城裕之首席デザイナーがパネルディスカッションに登場し、日本と中国の関係について「協力がとても重要で、中国と日本の市場の参加者は緊密に協力しなければならないと思っている」と述べた。
上海市でバンマーネットワークが開催したイベントの会場

 富士経済が7月2日に発表した調査によると、世界のコネクティッドカーの新車販売台数は、35年に17年比4.4倍の1億250万台に拡大する見通し。世界最大の自動車市場を抱える中国も大幅に伸びるとみられており、22年に世界最大の需要地になるとされている。