ニュース

ISIDが子どもの運動能力をAIで分析、向いているスポーツを提案

2019/08/12 09:00

 電通国際情報サービス(ISID、名和亮一社長)は、子どもの運動能力をセンサーで自動測定し、一人一人の長所に応じてどのスポーツが向いているかを提案するAIシステム「DigSports(ディグスポーツ)」を製品化した。全国の自治体やスポーツ施設、イベント事業者を対象に販売する。


 ISIDは2017年4月に子どもの運動能力測定システム「DigSports」を開発、発表した。早い時期に自分にあったスポーツを知る機会をつくることで、将来アスリートを目指したり、生涯楽しめるスポーツと出会うことを目的としており、これまでスポーツイベントやスポーツショップへの試験導入を重ね、一般利用者からのフィードバックを反映することで機能を拡張してきた。

 最近は、全国の自治体やイベント事業者では、手軽に楽しめる体験型スポーツアクティビティの需要が高まっており、こうした背景からDigSportsの製品化に踏み切った。
DigSportsのシステム構成

 DigSportsは、利用者の動きを3次元で検知するセンサー、大型モニター、独自の測定・分析プログラムで構成される。約5×5mの広さがあれば、文部科学省の新体力テスト項目のうち4項目(反復横跳び、50メートル走、ボール投げ、立ち幅跳び)の測定を行うことができるほか、垂直跳び、持久走も測定可能。独自のアルゴリズムに基づきモニター前での動きから記録を推定するため、大掛かりな設備や多数の記録員が不要で、屋内の限られたスペースに常設したり、イベントの出展ブース内で計測したりなど手軽に利用できる。
分析結果

 身体測定や体力測定の結果をもとに、一人一人の長所をAIが分析。オリンピック種目を含む74種類の競技の中から、どれに向いているか、AIが提案する。アスリート指導の専門家で元全日本フリースタイルスキーチームフィジカルコーチの経歴を持つ遠山健太氏が考案したスポーツ適性診断メソッドを応用したアルゴリズムを実装。個々の体格や体力に応じて、適性が高いスポーツ種目を推定できる。また、スポーツが上達するためにはどのような運動をすればいいかというアドバイスも得ることができる。

 目の前の大型モニターに計測中の自分の動きと骨格の推定画像が重なって見えたり、計測記録がリアルタイムで表示されたりと、楽しくチャレンジできるインターフェースを搭載。誰かと競争したり順位を決めたりするのではなく、一人一人にあったスポーツを見つけることで、運動が苦手な子どもでも楽しみながらスポーツに目覚めるきっかけをつくることができるという。

 利用形態は、6カ月以上の常設利用と単発利用を選ぶことができる。常設利用の月額利用料は5万円で、システム研修費用は10万円から。指定のスペックを備えたPCなどの周辺機器が必要となる。単発利用の利用料は1セット当たり1日30万円。技術者を派遣する場合は別途サポート費用などが必要。

 ISIDは今後、全国の自治体や公共・民間スポーツ施設、各種イベント事業者などを対象に販売し、21年度までに累計50施設への常設導入を目指す。
  • 1

関連記事

ISID、AR体験システム「なりきりアート」を開発、「DensePose」も活用

気仙沼市の全中学校、運動部の遠隔指導がスタート

熊本の子育て相談システム、子育て応援店をAIで検索する機能を追加

「EdTech」で教育が変わる? データ活用で、一人一人に最適化した学習の実現へ

プログラミング教育を商機に 中国企業が日本進出を本格化

外部リンク

電通国際情報サービス=https://www.isid.co.jp/