NTT東日本は、AI-OCRやRPAを活用することで自治体業務を効率化できるかを分析・検証する実証実験を実施した。実施した自治体は東京都目黒区と長野県長野市。


 目黒区では、住民からの各種申請書類など、自治体の事務手続きに多くの紙帳票が使われている。紙帳票からシステムへのデータ入力は職員の手作業に頼るところが多く、データ入力業務の作業量削減が課題となっていた。今回の実証実験では、AI-OCRで実帳票をデータ化し、一連の業務プロセスをRPAで自動化することで、どのぐらいの稼働削減効果があるかを検証した。

 実施期間は5月9日から6月30日まで。AI-OCR・RPAとの親和性が高く、業務プロセスの改善が必要な保育課の「保育施設運営費支出」、人事課の「研修評価シート集計」という2業務を対象に実施した。なお、AI-OCRツールとしてAI inside製「DXsuite」、RPAツールとしてNTT-AT製「WinActor」を使用した。

 保育施設運営費支出業務では、紙帳票の児童名簿をAI-OCRでデジタル化し、電子稟議システムへの入力をRPAによって自動化。AI-OCRの読取り精度は99.9%と、個別チェックを必要としないレベルの精度が確認できた。年間での稼働削減率は、9割を超える見込みとなった。
 
保育施設運営費支出業務の実証実験業務フロー例

 研修評価シート集計業務では、職員研修実施後の手書き評価シートをAI-OCRでデジタル化し、集計用Excelファイルへの入力をRPAによって自動化した。AI-OCRの読取り精度は、手書き文字も含めて98.2%と、十分実務に活用できることが確認できた。定性的な面では、「作業が集中する時期でも一定の品質を確保できる」「自由記述欄が長文であっても正確に転記できる」といった効果が期待できる。年間での稼働削減率は、3割を超える見込み。

 一方、長野市では、労働人口の減少が予想される中、自治体業務を刷新に取り組んでいる。実証実験期間は5月7日から6月28日まで。繁忙期の業務量に課題があるふるさと納税業務、児童手当の受付業務、予防接種の管理業務の3業務を対象に実施した。

 ふるさと納税業務では、「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」と申請サイト管理画面の照合、管理簿への申請書内容転記業務児童手当の受付業務を自動化。児童手当の受付業務で「児童手当認定請求書」の児童手当管理システムへの入力業務を、予防接種の管理業務で健康情報管理システムへの入力業務を自動化した。
 
ふるさと納税業務の実証実験業務フロー例

 この結果、短縮効果は、ふるさと納税業務で年間315時間、児童手当の受付業務で年間113時間の削減が期待できる。なお、防接種の管理業務は読取精度の確認のみ実施し、AI-OCRの読取り精度が90.8%だった。

 これらの実証実験により、AI-OCR・RPAの導入が、自治体業務の効率化に一定の効果があることが確認できた。その一方、運用定着に向けて課題があることが分かった。今後は、ほかの自治体に対しても業務改善の支援を実施していく。