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孫会長、赤字ながらも「営業利益や売り上げは忘れていい」──株高を背景に株主価値拡大をアピール、ソフトバンクグループ第3四半期決算

2020/02/14 12:56

 ソフトバンクグループは2月12日、2020年3月期の第3四半期決算の説明会を行った。当期累計の売上高は7兆898億円、前年同期比787億円減、1.1%減、営業利益は前年同期比1兆8720億円減で130億円の赤字に終わった。ソフトバンクの売上高は4.8%伸びたが、スプリントの売り上げが6.6%減少。営業利益ではソフトバンク、スプリントがともに増益だったものの、ファンド事業で計上した7978億円の赤字が大きく響いた。

第3四半期決算で「営業利益や売り上げは忘れていい」と語る
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長

 説明会で孫正義 代表取締役会長兼社長は「ソフトバンクグループは戦略的持ち株会社として、投資を本業にする会社に生まれ変わった。もはや営業利益や売り上げは関係ない。忘れていい数字だ」と話した。保有株式の含み益から有利子負債を引いた「株主価値」がより重要だとして「昨年9月の20兆円から2月12日現在で25兆円まで、株主価値が5兆円増えた点を評価すべき」と強調した。

 累計で1兆円を超える投資を行ったにもかかわらず、ずさんな経営が発覚し上場申請の撤回に追い込まれたWeWork問題について孫会長は「大いに反省している」としながら、5カ年成長戦略を策定するなどでテコ入れ。約5800億円の資金も新たに投入、CEOにサンディープ・マサラニ氏を迎え、立て直しを図る。しかし、今後はこうした「救済投資は原則として行わない」とした。

 このところNYダウは史上最高値を更新し続ける超強気相場。12日も2万9551.42ドルと史上最高値を更新した。昨年9月30日の終値は2万6916.83ドル。この4カ月余りで9.8%上昇しており、地合いの強さを背景にファンド事業が好転した格好だ。強気相場が続く限りは見通しも明るいが、高値更新の勢いがどこまでも続くことはない。新型コロナウイルスの世界的波及懸念など、大きな悪材料もある。含み益が一転して収縮するリスクも考慮しておく必要があるだろう。(BCN・道越一郎)
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