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DXの世界的な動向・実態は? 富士通が分析結果を公開

2021/08/23 18:00

 富士通は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の世界的な動向・実態把握を目的に世界9カ国の経営層や意思決定者1200人を対象として調査を実施し、その分析結果を「Fujitsu Future Insights グローバル・デジタルトランスフォーメーション調査レポート 2021」として公開した。

パンデミック後の世界における経営の最優先課題

 5回目の調査となる今回は、企業がCOVID-19のパンデミックがもたらした変化にどのように対応したのか、パンデミック後の新たな世界の優先課題をどのように捉えているのかについて調査分析を実施した。さらに、分析結果からパンデミックに効果的に対応できた要因を明らかにし、パンデミック後のビジネスを検討する上での必要不可欠な組織の能力や、重要と思われる傾向と洞察を導き出した。

 今回の調査では、商品やサービスを完全にオンラインでのみ提供する企業(ネット専業企業)の多くが売り上げを伸ばし、商品やサービスを完全にオフラインまたは一部をオンラインで提供する企業(非ネット専業企業)の半数の売り上げが減少した。

 一方で、非ネット専業企業の78%は大きな影響を受けつつも、パンデミックに効果的に対応できたと回答していた。こうした対応を可能とした三つの大きな要因としてアジリティ、デジタル化、従業員のウェルビーイングを挙げていた。

 富士通によるグローバル調査の結果は、一貫してリーダーシップ、データからの価値創出、アジャイルな文化、エコシステム、人材のエンパワーメント、ビジネスとの融合が、デジタルトランスフォーメーションを成功に導く組織能力であることを示してきた。同社は、これらを「デジタルマッスル」と呼んでいる。

 今回の調査では、デジタルマッスルのスコアとパンデミックへの対応について分析したところ、デジタルマッスルのスコアが高い企業ほど、パンデミックがもたらしたビジネス環境の変化に対して効果的に対応ができていることが明らかになった。

 パンデミック後の新しい世界での経営の優先課題は、変化への対応力(レジリエンス)がトップに挙げられており、多くの企業が不確実な世界で変化への柔軟な対応力の重要性を認識していることがうかがえた。次に、ビジネスプロセスの自動化、データ駆動経営が挙がり、オンラインとオフラインを融合した顧客体験が続いた。

 調査では、非ネット専業企業の44%が25年までに現在自動化されていないプロセスの50%以上を自動化すると見込んでいた。また、対面での体験がもたらすプレミアムな価値を再検討する必要性も明らかになった。ネット専業企業の回答者の64%が、オンラインで提供できないプレミアムなサービスを対面で提供する価値が高まると考えていた。49%の非ネット専業企業も同じ意見であり、対面サービスの価値が減少すると考えた回答者数を上回っていた。

 昨年の調査では、ビジネスリーダーが社会への価値提供の重要性を認識していることについて言及。パンデミックはこの傾向を強めた。今年の調査では、非ネット専業企業の78%がパンデミックを契機に社会への価値提供の重要性が増したと回答している。
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富士通=https://www.fujitsu.com/jp/