さくらインターネットは9月9日、データセンターの防災に関する報道向け勉強会をオンラインで開き、2018年9月の北海道胆振東部地震で大規模停電(ブラックアウト)に見舞われた経験から得た知見を紹介した。当時、現地で対策に当たった同社の前田章博取締役は、データセンター被災時に「電力の確保」と「従業員の安心・安全の担保」が最重要だと指摘。現代社会に不可欠となったデジタルインフラであるデータセンターを守るため、災害対応のノウハウを業界内外で共有していく考えを示した。
さくらインターネットの石狩データセンター
同社は胆振東部地震で、石狩市に有する石狩データセンターが被災し、ブラックアウトの影響で約60時間にわたって送電が停止する事態に陥った。非常用発電機を稼働させて事態を乗り切ったものの、長時間の停電への対応や従業員らに必要な非常食の備蓄量などに課題が残ったとする。一方、被災した従業員の家族をデータセンターで受け入れたことで、従業員が安心して業務に取り組める環境を整えられたという。
これらの経験を踏まえ、現在では、複数台の発電機で送電系統を構成するなど、自家発電の体制を強化し、最大連続稼働時間を延ばしたほか、非常食の備蓄量を増やし、従業員だけでなく家族らも対象に加えて大幅に拡充した。
同社ではプレゼンテーションや取材などを通じて、地震対応から得た教訓を幅広く伝えているという。前田取締役は「自社の独自ノウハウとすることなく、国内のデータセンタービジネスが安心・安全に進むよう取り組んでいく」と話した。
今後の展望については、クラウドへのニーズが強い現状を反映し、場所やサーバーなどの「モノ」を提供するのではなく、モノに付加価値を加えたサービスを価値として提供する方向へとシフトしていくとした。
また、環境への配慮も強く求められると強調した。今年6月には石狩データセンターの電力調達先を環境性に優れるLNG・ガス火力発電を主とする電力会社に切り替え、同センターの1年間における二酸化炭素排出量の約24%にあたる約4800トンの削減につなげたという。(藤岡堯)