グーグル・クラウド・ジャパンは9月7日、記者説明会を開催し、NTTドコモが今年7月にGoogle Cloudを大規模導入した事例を紹介した。一時は採用見送りとなったが、性能や機能が向上したことで、導入が決まったという。
NTTドコモは、社内のビッグデータ分析基盤「IDAP」の閉域環境にGoogle Cloudを導入した。IDAPは2014年に誕生し、当初はオンプレミスとアマゾンウェブサービス(AWS)の環境で運用を開始した。17年には、データ量の増加に伴い、Google Cloudの採用を検討したが、セキュリティ要件を満たせていなかったことなどから採用には至らなかった。
その後、19年3月にGoogle Cloudのマルチクラウド・データ・ウェアハウス「BigQuery」の性能検証を開始。グーグルのエンジニアと協議を重ねた結果、大幅な性能向上を確認した。同年12月にはGoogle Cloudによる運用のめどがつき、翌年10月から小規模導入し、今年7月に本格導入となった。
NTTドコモ 林 知範氏
NTTドコモサービスイノベーション部エンジニアの林知範氏は「小規模導入をした際、一部のパイロットユーザーにBigQueryを利用してもらい、フィードバックしてもらったところ、性能面や機能面で高い評価が多数寄せられ、これが本格導入の後押しとなった」と説明した。
BigQueryに魅力を感じた理由については「同時並列で高いパフォーマンスが要求されるような負荷を想定したベンチマークテストで、BigQueryは十分な性能を発揮した」と述べた。さらに「(地理空間データを分析し、可視化できる)BigQuery GISや、(BigQuery内に機械学習モデルを直接構築し、運用できる)BigQuery MLといった豊富な機能も魅力のポイントで、高いユーザビリティを提供できると感じた」とし、BigQueryを利用する上での課題は「解消している」と語った。(齋藤秀平)