セールスフォース・ジャパンと九州観光機構、JTBは6月20日、九州の観光DXに関する包括連携協定を結んだ。九州観光機構とJTBが収集する観光関連事業のデータをセールスフォースのプラットフォームに蓄積して「九州観光プラットフォーム」を構築し、データを活用した観光地づくり(観光DX)の実現を目指す。事業としては、観光客の属性や行動履歴、鉄道やバスの利用状況、SNSのいいね数などの集計・分析、観光地の人気ランキングづくりなどに取り組み、九州ファンの獲得、リピーター化を目指す。
左から、JTBの山北栄二郎社長、九州観光機構の唐池恒二会長、
セールスフォース・ジャパンの小出伸一会長兼社長
本年度の取り組みとしては、「Salesforce Service Cloud」や「Tableau」などを活用して、観光地域づくり法人、運輸局、観光事業者と情報連携の効率化を進めた上で、九州観光機構の会員企業と相互利用可能なシステム環境を整備し、各地域の観光DXのモデルとなる九州観光プラットフォームを立ち上げる。その後、同プラットフォームに九州観光機構とJTBが保有する各種事業データを蓄積させる。また、2023年度には「Salesforce Experience Cloud」を利用したデータ連携やビジネスマッチング、24年度には「Salesforce Marketing Cloud」によるデジタルマーケティングプラットフォームの実現を目指す。
セールスフォース・ジャパンの小出伸一会長兼社長は今回の協定について「創業以来、顧客管理のソリューションを提供してきた。この業界で顧客にあたる観光客の管理を、今まで培ってきた知見で全社を挙げて支援する」とした。加えて「顧客が旅行のプランを立てる時や、旅行中にはどのような期待をいだいているか、あるいは旅行後にはどのようなフォローアップが必要なのかなど、顧客をより深く理解し、寄り添うことが今後の観光DXには必要だ」と、観光客のリピーター化に向けたデータ活用の重要性を強調した。
そのほか、九州観光機構が抱えるデータ分析などのノウハウが乏しいといった課題に対して、学習プラットフォームの提供で支援し、デジタル人材の育成を本年度から継続的に続けていく。
セールスフォース・ジャパンとJTBは、2020年8月に包括的連携・協力に関する協定を結び、観光ビジネスを中心に地域DXの推進を図っていたが、九州全域という規模での協定は今回が初となる。