NECは2022年12月23日、ローカル5Gネットワーク上でエッジコンピューティング環境を構築するための新製品「ローカル5G用UPF MEC統合版」を発表した。2月15日より出荷を開始する。複数のサーバーを組み合わせる必要があった従来製品の機能を1台のサーバーに統合し、コストや収容スペース、構築期間を削減できる。
5Gでは、4Gまでのモバイルネットワークに比べ、通信遅延を短時間に抑えられるという特徴がある。このメリットを最大限生かすため、5G端末から得られたデータをインターネット上のクラウドに転送して処理するのではなく、基地局の近傍に設置したサーバー内で処理する「MEC(Multi-access Edge Computing)」のアーキテクチャーが提案されている。
ローカル5G用UPF MEC統合版
今回の新製品では、企業が工場など特定の場所に展開する「ローカル5G」上でMECを構築する際に必要だった、複数の機器を統合した。具体的には、従来はユーザーデータのパケット伝送を担う「UPF(User Plane Function)」用に2U、データの処理を行うMECサーバー用に1Uの、合計3U分のラックを占有していたが、これらを2Uサーバー1台に統合した。機器導入コストは約19%削減できるという。
また、NECはローカル5G基地局に求められる無線ユニットや制御装置を1台の小型ハードウェアに統合した「UNIVERGE RV1200」を22年1月に発表しており、今回の新製品と組み合わせることで、基地局+サーバーのシンプルな構成でローカル5Gをスモールスタートできるようなった。
同社では、5GネットワークやMEC環境の構築に必要なハードウェアとあわせて、映像データから物の動き・形状や人の行動を検知できるAIエンジンなど、5G向けのアプリケーションも提供し、エッジコンピューティングの具体的な用途の提案を強化していくとしている。
(日高 彰)