freeeは3月2日、「freee人事労務」の料金プランを刷新し、全プランで基本料金を廃止した。働き方改革関連法を受け、2023年4月から中小企業の時間外労働における割増賃金率が50%へと引き上げられることから、中小企業が導入しやすい環境を整えた。24年4月には、医療、建設、運輸の3業界で残業規制が強化される予定で、同社は業界に特化したチームを発足させるなど、サービスの拡充を図る考えだ。
従来のプランはいずれも基本料金と1IDあたりの料金で構成され、新プランではID料金のみで提供される。「ミニマム」「スターター」「スタンダード」「アドバンス」の4種類が設けられ、最もシンプルな「ミニマム」では基本的な給与計算関連の機能のみが利用でき、上位に進むほど、労務や勤怠、人事などの機能などが付与される。
和田矩明 HR事業PMM
割増賃金率の引き上げによって、中小企業の労務業務への負担が増し、人事労務系SaaSへのニーズは高まるとみられる。規模の小さい事業者にとっては割安となる料金体系を打ち出し、訴求を図る狙いだ。一方、ID数が500を超える規模の顧客はコストが増えるという。
3業界に向けては、社会保険労務士による相談窓口や新規制に対応した就業規則のテンプレートを無料で提供するほか、就業規則の変更・新規作成の代行パッケージも用意する。社内には既存の医療福祉専任チームに加え、建設・運輸専任チームを新たに立ち上げ、支援に取り組む。
和田矩明・HR事業プロダクトマーケティングマネージャー(PMM)は「法改正(への対応)、業務の効率化はセットで仕組みを整えなければならない。(新プランなどを通じて)無理に進めるのではなく、時間的な余裕をつくりつつ、安心して準備できる状態を提供したい」と述べた。
旧プランの現行顧客に対しては、6月中旬以降、更新のタイミングに合わせて、新プランに切り替えていく方針だ。
(藤岡 堯)