ジョーシスは9月6日、投資ラウンドにおけるシリーズBラウンドで大型資金調達を実施したと発表した。この資金を活用し、エンタープライズ領域への進出と、北米やアジア太平洋地域など、海外40カ国で事業展開を開始する方針を示した。ITデバイスやSaaS管理ソリューションを、より多くの企業に届ける考え。
同社はラクスルの子会社として2022年2月に設立。ITデバイスやSaaSを統合管理し、情報システム部門のオペレーション業務を自動化するプラットフォーム「ジョーシス」を提供している。
松本恭攝 社長CEO
今回、シリーズBラウンドで135億円の資金調達を達成しており、シリーズAラウンドの44億円とあわせると、累計資金調達額は179億円となる。既存投資家のグローバル・ブレインと、今回新たに参加したグロービス・キャピタル・パートナーズを筆頭に、ラクスルやNTTドコモ・ベンチャーズなど、計18社が引受先となっている。
ジョーシスの松本恭攝社長CEOは「日本発のグローバルのソフトウェア会社として、世界でナンバーワンのサービスになることを目指す」とコメントし、海外でのサービス開始をアナウンスした。
具体的には、各国の顧客にジョーシスを提供するほか、国をまたいだITデバイス・SaaSアプリの管理オペレーションを提供する。これにより、例えば東京に本社を置く会社が、海外の事業所の従業員にPCやSaaSアプリケーションを数日で届けることができるようになるという。25年末までに100カ国以上でITアウトソーシングサービスの展開を目指す。
国内の事業に関しては、9月からエンタープライズ市場に参入すると発表した。同社は主に従業員300人以下の企業に対してジョーシスを提供し、情シス業務の自動化、効率化を支援してきた。同社の調べによると、ITデバイスの管理台数が1000台を超えるような規模の企業のうち、約3分の1が「管理に『Excel』を使用している」または「管理を実施していない」と回答したという。今後は、より大きな規模の企業に対してもサービスを提供し、モバイルデバイスやSaaSの管理、ITガバナンスなどにおける課題解決を推進する方針だ。
また、メンバーシップスクール「ジョーシスアカデミー」を23年中に立ち上げる意向を示した。すでにDXを成功させている企業のリーダーを招き、これからDXを目指す企業に成功の経験やノウハウを共有する場で、松本社長CEOは「企業のDXを推進するリーダーを育成していくための、気合の入った取り組みだ」と力を込めた。
(大向琴音)