SailPointテクノロジーズジャパンは4月22日、ID管理・セキュリティー製品の「SailPoint Identity Security Cloud」で、中堅企業向けエディション「Standard」の提供を新たに開始した。アイデンティティーセキュリティーの向上に取り組む企業からの需要は高いとして、同社の藤本寛社長兼米SailPoint Technologies(セイルポイントテクノロジーズ)バイスプレジデントは「市場は温まってきている」と強調。新規パートナーの獲得を通して拡販を進める考えだ。
藤本 寛社長兼本社バイスプレジデント
SailPoint Identity Security Cloudは、さまざまなシステムのアイデンティティー(IDやアクセス権限)を一元的に管理し、セキュリティーやコンプライアンスの強化が図れる製品で、今回のStandardは従業員数2500人以下の組織で必要となる主要機能をパッケージ化したもの。アクセス権限の可視化や、アイデンティティーのライフサイクルを管理する機能などで、全社で整合性の取れたアイデンティティー管理が可能になる。
また、SailPoint Identity Security Cloudの基盤である「SailPoint Atlas」は、アクセス履歴などのインサイトや外部連携に必要なAPI、AIによる運用の効率化や、自動化に必要なデータモデルを提供する機能も備えている。
オプションで導入計画のベースラインを策定するサービスも提供し、8~12週間ほどで製品導入の効果を実感できるようになるという。非正規社員リスク管理やパスワード管理、クラウドインフラ権限管理といった機能を必要に応じて拡張することも可能だ。
藤本社長は、製品提供の背景を「企業が利用するITシステムが増加する中、中堅企業でもアイデンティティーの数が増え、管理の手間や侵害されるリスクが高まっている。当社への中堅企業からの問い合わせは増加している」と語った。
同製品の拡販に向けて間接販売を拡大する考えで、新規パートナーの獲得も目指す。具体的にはSIerとの協業で顧客への提案を加速させる考えで、藤本社長は「大企業であればコンサルティングファームを入れてプロジェクトを作っていくことができるが、中堅規模の企業では難しい場合も多い。中堅企業とすでに付き合いがあり、現場をよく知るSIerとの協業を通して、顧客に製品の価値を訴えていく」と力を込めた。
また将来的には導入だけではなく、運用の部分でもパートナーと協業する方針で、藤本社長は「社員が入ってきたり辞めたりするたびに発生するオペレーションにIT部門が対応するのは負荷が高く、(運用支援サービスの)ニーズは高い」と説明した。(大畑直悠)