日本IBMは4月26日、AIとデータのプラットフォーム「IBM watsonx」を構成するソフトウェアのうち、データストア「watsonx.data」について報道向けに説明した。データ分析のコストを最適化したり、自然言語のやりとりでデータを利用するまでの時間の大幅に短縮したりして、顧客のAI活用を支援する機能を紹介した。

　同社は、開発中の新機能として「セマンティック・オートメーション」を示した。チャットによる自然言語のやりとりで、生成AIが膨大なデータの中からデータ分析に必要な情報を提案。社内データの検索・取得から加工までを自動で実行でき、顧客がデータを活用するまでの準備時間を大幅に短縮できる見通し。現在はβ版を一部顧客が試用段階で、フィードバックを反映させた上で2024年中ごろから一般利用を開始する予定とした。日本語でのチャットにも対応するという。


　watsonx.dataは、データストア機能に加え、AI向けのデータベース機能を提供。データストア機能では、データ分析の際に最適な処理エンジンを選択することで、コストを最適化できる点を製品の特徴に挙げた。またAIデータベース機能については、社内データをベクトル化することで効率的に保存し、生成AIのアウトプットへの信頼性を高められるとした。

　IBM watsonxは、三つのソフトウェアで構成されており、watsonx.dataのほか、AIの構築・運用のための「watsonx.ai」と、AIモデルのリスクを管理できるツールキット「watsonx.governance」がある。組み合わせによる利用のほか、単体でも導入できる。同社は、随時機能を強化していく方針。

　テクノロジー事業本部の四元菜つみ・Data and AI製品統括部長は、IBM watsonxについて「簡単でスピーディーにデータを活用でき、意識しなくてもAIのメリットを享受できる考え方を体現した製品になっている」と述べた。
（堀 茜）