富士通は事業モデル「Fujitsu Uvance」で、ユーザー企業の業種を軸としたバーチカル領域の本年度(2025年3月期)見込み案件が、売上高目標値の177%に達していることを9月10日のIR説明会で明らかにした。高橋美波・執行役員副社長COOは、「バーチカル領域の伸びがFujitsu Uvance事業の成長のかぎを握る」とみており、見込み案件ベースでバーチカル領域のビジネスが順調に伸びていることを示した。
高橋美波 執行役員副社長 COO
Fujitsu Uvanceでは製造や顧客体験、健康医療など七つの重点分野を定めており、ITと業種ノウハウを組み合わせて業種横断的な社会課題の解決を目指している。同社はFujitsu Uvanceの本年度売上高見通しの4500億円のうち、バーチカル領域が1800億円、業種横断のホリゾンタル領域が2700億円を占めるとしている。
来年度(26年3月期)までの3カ年中期経営計画では、Fujitsu Uvance事業の売上高目標を本年度予想比で56%増の7000億円に設定。内訳はバーチカル領域が4000億円、ホリゾンタル領域が3000億円を見込む。来年度のバーチカル領域の売上高に占める見込み案件の比率は48%で、「すでにバーチカル売上高目標のうち、半分近いパイプラインが見えている」(高橋副社長)と手応えを感じている。
具体的には大手製造業のユースケースから生み出したサプライチェーン関連のオファリングをグローバル100社余りに提案中であったり、流通小売業では23年に富士通グループに迎え入れた独GK Software(GK ソフトウェア)とのクロスセルで「バーチカル領域の成長を下支え」(同)したりしている。
Fujitsu Uvanceがターゲットとする市場規模はグローバルで約25兆円とみており、来年度にはシェア3%の獲得を視野に入れる。
(安藤章司)