フリーは5月14日に開催したイベント「freee TOGO World 2025」で、AIエージェント「freee AI（β版）」を発表した。フリーの各プロダクトに組み込まれ、連続的な業務の実行を支援する。佐々木大輔CEOは、プロダクト開発における技術的な基盤と設計思想を組み合わせたフレームワーク「統合flow」とAIを掛け合わせることで、バックオフィスの業務効率化だけでなく、「経営課題に対してお役に立てるパートナーになっていきたい」と展望した。
 
　同社では、2024年に発表した統合flowを活用し、さまざまなツール間でデータをつなぐ際の支障となる「業務の分断」や、管理部門と現場の間でコミュニケーションが滞る「コミュニケーションの分断」、データが別々の場所に保存されているために起こる「データの分断」を解決する機能をリリースしてきた。

　一方で、佐々木CEOは「残っている分断が一つだけある。それは、業務をつないでいるのが人だということだ」と述べ、各業務の間に承認や振り込みの依頼など、人への「お願い」が入ることで生まれる分断があると指摘。AIエージェントが接合点となることで、ユーザーに代わって日々の業務を遂行し、切れ目のない連続的な業務をつくるとした。

　AIエージェントを使ったサービスとして、従業員向けには「まほう経費精算」「AI年末調整アシスト」を提供する。まほう経費精算では、チャット内容をAIが自動解析して事前の経費申請が可能。経費の利用予定日になると申請者に通知が届き、領収書を撮影するだけで事前申請と連携した経費申請ができる。

　AI年末調整アシストは、例えば生命保険料控除における契約者、保険種類、区分、金額の自動入力など、書類を撮影するだけで年末調整の際の記入をアシストする。

　管理者向けには、「AIチャット請求」「AI勤怠チェッカー」を用意する。AIチャット請求は、「freee請求書」において請求書発行の業務をAIが自動化する。月末に自動で取引先ごとの納品書から未発行請求書を特定し、取引先ごとの合算請求書を瞬時に作成・送付できる。合算時に発生しやすい計算ミスや漏れを防止するという。AI勤怠チェッカーは「freee人事労務」に関する機能で、勤怠チェックを指示すると不備のある従業員をリストアップし、自動で修正や催促の連絡を行う。

　経営者向けには、工数データの分析と可視化を図る「AI工数マネージャー」、経営分析の「AIクイック解説」を展開する。
（大向琴音）