フリーは11月14日、2025年6月期第1四半期(24年7~9月)の決算を発表し、創業以来初めて、調整後営業利益が四半期単位で黒字となった。常務執行役員CFOの坪井亜美・経営管理本部長は「売上高成長や営業生産性の継続的な改善、ソフトウェア資産化によるR&D費用の抑制、AIの導入やスケールメリットによる共通コストの削減などがドライバーとなった」と分析。以前より目標として掲げる25年6月期通期での黒字化が具体性を帯びてきた。
坪井亜美 常務執行役員CFO
調整後営業利益は4億8000万円(前年同期は19億1500万円の赤字)となった。インボイス制度に伴う開発人件費や広告宣伝費、営業人件費などへの先行投資により、23年6月期第4四半期では収益性が大きく低下したものの、生産性の向上や先行投資からの収益の回収によって収益率を徐々に改善し、四半期単位での黒字化を達成。売上高は前年同期比29%増の73億7600万円だった。
ARR(年間経常収益)は28.1%増の279億円。このうち、法人セグメントが214億円、個人事業主セグメントは65億円となった。法人セグメントに関しては、既存顧客からの売り上げ増を背景に、前年同期比31.9%増と好調に推移した。
本年度からは、収益性を担保しながら引き続き顧客基盤の拡大に取り組んでいる。具体的には▽クロスセルの推進▽利用ID数やトランザクションの増加▽既存顧客からの収益を原資とした効率的な新規顧客の獲得への投資―に注力している。
また、現在法人の有料課金ユーザー数は20万社を突破。本年度中に法人の有料課金ユーザー数25万社を目指す。坪井常務執行役員CFOは「ややチャレンジングな数字ではあるが、会計事務所を経由した顧客獲得が順調に進んでいる。引き続き25万社を強く意識して取り組む」と述べた。
(大向琴音)