伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は6月12日、物流向けに配送能力向上を支援する配送ルート作成サービス「OptyLiner(オプティライナー)」を提供すると発表した。物流企業のTriValue、数理最適化などに関する技術を持つエー・スター・クォンタムとの3社共同で開発。従来と比べ配送計画作成の時間を短縮でき、微調整や繰り返しのシミュレーションがしやすくなることで、受注の締め切りを早める必要がなくトラックの空車の抑制につながるという。
ドライバー不足やCO2排出量削減などの課題を抱える物流業界では、無駄のない配送ルートの策定が求められる。ただ配車計画やルート作成は、熟練職員がドライバーへの負担や作業時間などに配慮しながら試行錯誤しているのが現状だ。
OptyLinerは開発にあたり現場の配送担当者が協力。実際のルート作成で考慮する要件をヒアリングで洗い出し、ユーザーインターフェースは直感的で見やすい画面になるよう工夫した。計算には、制約条件のある中で移動距離などを最小化する解を出せる数理最適化と、量子コンピューターの技術を活用。トラック10台での1日の配送計画を作成する実証実験では、約10分で作成を完了した。手作業で約3時間、既存システムで約1時間半かかった作成時間を大幅に削減でき、計画に沿った実際の業務でもおおむね想定通りに配送を完了できたとしている。
牧野昌道 課長
デジタルサービス企画推進部の牧野昌道・物流・GXサービス企画開発課長は、「配送を効率化するだけではない。直前まで計画変更できることで受注機会損失をなくし、配送能力向上に貢献できる」と強調。直販を基本とするが、物流ソリューションを提供する代理店経由での販売も行う。家具や建材などを扱う企業を中心に展開し、基本利用料は月20万円から。複数の物流企業での共同使用も可能だ。
(下澤 悠)